新しくなった『Tokyo100』いいね !≪高瀬 治夫≫
少し前の話になりますが、11月の下旬に「Tokyo100」という地元の大会に出走してきました。トレイルランナーへの認知度はまだまだですが、 本当にいい大会なので皆さんに知ってもらいたく、今回は店長に頼んでブログを書くことになりました。
どうしても備忘録風のブログとなってしまいます... もし宜しければお付き合いください。
【第3回 Tokyo100 大会概要】
- 開催日時 2024 年 11 月 23 日 09:00〜 24 日 15:00 制限時間 30 時間
- 距離 101km 累積 D+7,007m ITRA 5points UTMB Index 100M
- 定員300 名 (エントリ一118名 ⇒出走103名 完走 74名 完走率 71.8% )
- ノンマーキングセルフナビゲーション方式、ココへリ必携、ヤマップでのトラッキング
- 全域でストック使用可
- デポ利用可(A2、A5 奥多摩総合運動場)
- A2 以降ペ一サ一可能
- A2、A5 ではクラフトビール飲み放題(FAR YEARST BREWING)
東京の青梅・奥多摩山域を舞台にした 100km の山岳レースです
5月に開催されるTGTと一部だけ同じコースを使いますが、逆走だったり季節も違う(暑い⇔寒い)のでかなり 雰囲気は異なります。 ギザギザした登り下りはあまりなく、一発 1,000m級をひたすら登って、数キロに亘ってひたすれ下るパートが4 回登場する、なかなか国内の大会では見かけないであろう潔いコースです。個人的には「ギザギザ」より「ひたすら」のほうがメンタル的に楽で好きです。脚がもつかは別として。
前回までコースだった東京都最高峰の雲取山には行かなくなり、石尾根ピストンの破壊力も半減しましたが、 80 キロ位走った後に鷹ノ巣山まで登る趣向は、やはりハードボイルド感が強く、貫禄たっぷりのこのラスボスと最後に闘うのが最大の特徴だと思います。
また、ノンマーキングについては最近慣れてきてしまい何とも思わなくなってきましたが、慣れない方はココもポイントでしょう。 周回コースではない100km 以上の大会ともなりますと相当広大なエリアになりますので、この人数規模の大会では現実的にこの方法以外は採り得ないのだと思います。
今回が第3回ということで、知名度はまだそれほど高くはないと思います。皆さんも「ああ、聞いたことはある」くらいのリアクションの方が多いでしょう。 一方で私はというと、これまでの情報からあまりに過酷な大会(※1)という先入観があり、絶対近づいてはダメ なヤツとDNAレベルで警戒していた大会でした。
※1:一昨年の第1回は完走者10名程度、昨年の第2回は完走者5名(出走者15名ほど)という、超ハードボイルドな「コース設定」と「エイドサポート」が売りの大会と決めつけてました 。
そんな私が何故Tokyo100に出走したのでしょうか
昨年(2023年)遊び過ぎて大会に出まくったため、今年(2024年)はボラ中心に活動しようと誓ったのですが、気が付くと今年出走した大会は2戦2敗と完走ゼロ(※2)。このまま年を越すのはあまり気分が良いものではなく、まだ出走可能な大会が何かないものかと色々と物色をしていました。
※2:今年は Mt.FUJI、奥信濃100、志賀高原100、FTRI00 にチートリとしてボラ参加、出走はTokyoGrandTrail(TGT)とトルデジアン(TOR)の2戦のみ
ここで限られた選択肢として浮上してきたのが、昨年も参加して非常に楽しかった年末の「KGR130(KyotoGreatRound) 」と超ハードボイルドな「Tokyo100」の2択。
通常の私であればKGR一択なのですが、生憎今年はTORでの散財が響き、今更年末の京都などとは言い出せずKGRは見送り。 一方の「Tokyo100」は地元開催で懐に優しいのですが、なにせ上記の通りハードボイルドが過ぎて、全く完走イメージが沸かず。完走ゼ口での年越しが気持ち悪いから、このタイミングで悪足播きしているのに、更に DNF が 増えたら目も当てられないとネガティブ思考が勝ちすぎて、決断出来ずにずっと遂巡していました 。
そんな中、地元のグルラン仲間が Tokyo100 にエントリーしているというのです。
最初は「大丈夫かこの人」と頭を疑いましたが、話をしてみると何か雰囲気が違う(話が噛み合わない)。よく調べてみればコースが全く別物に変身(※3)し、エイドも目を疑うほどの充実した内容に。
※3:一番大きな変更は奥多摩から雲取山までの石尾根ピストンが、半分の鷹ノ巣山選難小屋までに短縮されたことでしょう。
そのような中、FBに「今日でエントリー締切ま一す」的な投稿を発見。事務局が前日付けで上げていた投稿をその翌朝に発見したので「やべぇ」と慌ててエントリーサイトにアクセス。まだ空いていたので「アブねぇー」とやっとエントリーしたのでした。 結局こんな顛末でエントリーしたのは大会約2週間前のことでした。
「きっと俺が最終エントリーだろ」と思ってい たのですが、後日発表されたエントリーリストを見るに、私の後ろに11名も居るし… 皆さん「どうしようかなあぁー」と大分悩んでいたようですね 。何でだろう...
【スタ一ト前】
スタート会場は青梅永山公園ハイキングコース入ロです。小学校時代に遠足で訪れる青悔鉄道公園の至近で、トレランでも幾度となく訪れる馴染みの場所です。
9:00 スタートですので都内在住であれば、普段の山行と比べてもややゆっくり目の動きだしで十分間に合います。ゴールを兼ねたメイン会場の奥多摩総合運動場は奥多摩駅ですから、青梅から更に 30 分以上電車に乗ります。朝の30分は大変貴重であり、スタートが青梅というのは意外と有難い設定です。
以下は、メイン会場の奥多摩総合運動場で区切り、便宜的にコースを3分割してご案内します 。
セクション1:スタ一ト〜A2 奥多摩総合運動場 約38Km、累積 2,600m(手元計測)
全く緊張感なく、ゆるっとスタートです。
最初は青梅高水のコースを辿り、岩茸石山から一気に川井に下ります。(ほぼほぼ TGT の逆走)。因みに岩茸石山は紅葉目当てのハイカーさんで大賑わいで居場所などなく、速攻で通り過ぎます 。
下りきるとA1 の川井スポーツコミュニティ(旧古里中学校)に到着。序盤の青梅丘陵ハイキングコースではガンガン抜かれまくりで、A1では上から2/3 位の位置取りでした。今回は完走こそがミッションなので漬れるような行為は封印です。
A1はおにぎり、バナナに地元日向和田の和菓子屋さんのお慢頭がありました。おにぎりは二種類あり1 つその場で頂き、もうーつは行動食でもらいます。バナナも頂きましたが、お饅頭はあまりに巨大だったので諦めぎるを得ません。きっとこのサイズでないとならない理由があったのだと推論を闘わせました。出来れば数等分に切って頂くとよかったかもしれませんが、大人の事情でしょう 。
A1 からもTGT の逆走が続きます。川苔山下の分岐までほぼ登りでD+1,200 位。長いです。多分8km位登りが続きます。登りきると登った分そのままに鳩ノ巣駅まで一気に下ります。TGT 逆走は途中の山の神WSで終了です 。
鳩ノ巣駅から先は多摩川に降り、A2 までは「奥多摩ウォーキングトレイル」という川沿いの遊歩道です。紅葉時期も重なり多くの観光客やハイカーさんが居るのでここは歩行区間に指定されていました。絶景の連続ですので景色を楽しみながらのんびりと進みたいところです。
A2奥多摩総合運動場までは試走では約9時間弱でしたが、本番では7時間35分でした。順位は丁度半分位。いつもの居心地が良い位置取りになってきました。この第一セクションはウオーミングアップなので、頑張り過ぎないようにするのが重要だと思います。トイレも至る所にある印象で何かと安心です 。
さて、A2では深刻なトラブルが起きていました。 クラフトビールのタップが到着せず生ビールの提供が出来ないとのこと...
TGT でもスタート・ゴールのメイン会場であるこの奥多摩総合運動場ですが、アプローチの登りがなかなかのボスキャラです。わかる人にはわかってもらえると思います。このTokyo100では3回もこのアプローチに挑むことが許されます。ハ一ドボイルドな主催者様からのプレゼントだと思いました。
しかもこのエイドの目玉は富士宮風焼きそばです。
生ビールを楽しみにしていた分、ダメージが無いと言えばウソになりますが、そこは缶ビールで手を打ちます。レースでは何が起きるか分からないので、切り替えて柔軟な対応が求められます。でも焼きそばはお替りOK だったので2杯頂きました。焼きそばの具で使用していた肉がかなり上等な代物だったのではないかと、実は思っています。
「エイドでビールが飲めるなんでスゲーなあ、TOR みたいだなあ」とDNFに終わった TORを思い出し、完走を心に誓います。 因みにこのエイドには、先ほどのエイドにも提供していた地元和菓子屋さんのカステラが提供されていました。 このカステラも絶品だったのは言うまでもありません。
セクション2:A2 奥多摩総合運動場 ~ A5 奥多摩総合運動場 約43Km、累積 2,600m (手元計測)
A2 滞在中に日が暮れました。夜モ一ドで出発します。
奥多摩湖畔のA3までの約 10km は「奥多摩むかしみち」という遊歩道に近いトレイル(舗装路もあり)で、なだらかな登りが続きます。そこそこ脚が疲れてきていたのもありますが、焼きそば2杯とビールの悪戯で全く走れま せん。
でもそんなことは初めから想定内なのでここは淡々と進みます。順位やタイムを狙うのであればここは絶対に走らないとダメな区間でしょうが、完走ミッションの私は淡々と。そしてこの区間で地元グルラン仲間のTさんと、そのご友人のKさんと合流します。ここから3人パック行動が始まりました。
A3 は奥多摩湖畔の水根沢駐車場です。
ここの目玉はミネストローネと青梅の行列が出来るメロンパン専門店のメロンパン。まずミネストローネは美味 しく項戴します。で、メロンパンですが…やはりデカいんです…丸々とデカいメロンパンを50キロ弱のエイドで頂けるなんて、とても贅沢です。でもどうしても受付ないので、貧乏性の自分はザックにメロンパンを入れてスタートです。
セクション2の目玉は何と言っても御前山を北から南からと2回登る(ピークは踏まないが)ことでしょう。1 回目は奥多摩湖畔から惣岳山(ハセツネで御前山ニセピークとして高名)までの約D+900。なかなかの急登で、あまり人が入らないルートと思われ踏み跡も不明瞭。更には落ち葉が大量に積もっています。夜間ということも加わりルートファインディングには相当気を遺いましたが、パックで行動していたので 本当に楽でした。
惣岳山から風張峠まではハセツネコースの逆走で、この区間は貴重なギザギザしたパートです。風張峠からは自転車乗りの聖地と言われる風張林道に入り、5キロほどのロード下りを爆走です。普通の人なら自転車でリスタート出来ない位の斜度ですので「如何にダメージを受けずに下るか」のいい練習になります。この林道で水切れ状態だったので途中の檜原キノコセンターの自販機で補給も忘れません。
そしてA4 旧藤倉小学校です。
ここの目玉は「お粥」と地元檜原村の豆腐屋さんの行列が出来る「卯の花ドーナツ」。どちらも大変美味しく頂戴しました。特におからを豆乳で練り上げたドーナツはいくらでも食べられそうでしたが、一人一つなのでガマンです。ここにきて食欲全開ですが、ザックのメロンパンには興味が湧きません 。
そしてここから御前山との 2 回目の闘いが始まります。御前山避隆小屋を目指し今度は南側からD+1,000アタックです。ここも北側と同じで、急登、薄い踏み跡、大量落ち葉で脚が削られます。南側のほうが岩が少ないため足場がなく、滑らないように注意が必要でした。避難小屋からは改めてTGTコースを辿り、今度は順走でA5目指して約 15 kmほどひたすら下り続けます。
15kmは長いです。ここも下り続ける非常に良い線習になるので頑張りどころです。
2 回目の奥多摩総合運動場へのアプロ ーチも何とか堪えぬき、A5 奥多摩総合運動場到着は 03:30 頃だったと思います。ここまでの第2セクションは試走と大体同じ11 時間弱。順位も半分よりもちょい上くらいで居心地良好。パックで進んできたお陰でフィジカルもメンタルもダメージ少なくいい感じです。
既に1位の選手はゴール済でした(笑) そうこうしている間に2位と3位の選手が同時ゴールしたりします。これからラスボスをやっつけに行く身としては全くの他人事にしか思えません。
A5 の目玉はうどんです。生ビールは相変わらずだったので、うどんと缶ビールを貰います。うどんはお替り可能か聞いたのですが、逆にあと数名で売切れと...うどんギリギリでした!危なかったです。40 数名で売切れということは発注数を間違えちゃいましたかね。なんとかありつけてよかったです。
でも温かいつゆはいくらでもどうぞと。脇にあったみたらし団子をばらしてお椀に入れ団子汁にして食べます。引続き食欲は好調でした。
一方で、ザックに入れていたA3の巨大メロンパンには興味湧かず、静かにデポに入れました。
そして夜明け前に極寒モードでラスボスを目指す訳です。
セクション3: A5奥多摩総合運動場 ~ ゴール奥多摩総合運動場 約 25Km、累積 1,700m (手元計測)
キツイです。
80km程度走ってからのラスボス鷹ノ巣山への約D+1,600ですので心して挑みましたが想像を超えたキツさです。 試走では道を探しながらの5時間でしたので、本番では何となく「6 時間半程度かな」と想定していましたが、甘いです。 8 時間かかりました。眠気もあって相当ノンビリではありましたが見込みは大甘でした。
そして寒いです。
尾根ですから風通し最高です。風切り音もジャンジャン雰囲気を盛り上げます。ピストンなので途中すれ違う上位陣の方々がロ々に「マジヤバいす」と繰り返します。でも我々3 名は日頃の行いが良いので、鷹ノ巣山付近では奇跡的風が止み、お日様もご機嫌でポカポカ陽気の中で山頂に辿り着きます。 途中で朝日も拝め、景色もよく、最終的には富士山も機嫌を直してくれました。
因みにこの区間のお題ですが「往路は全ピークを踏み(除く六ツ石)、復路は巻く」でした。確かに鷹ノ巣山まではピークを踏む人など殆どおらず、トレイルも不明瞭そのものです。一方の巻き道が主稜線のようになっており、通常はこちらしか通りません。今回の全ピーク踏みはキツさ倍増でした。
3 回目の奥多摩総合運動場 ⇒ゴール
実はこの3回目のアプローチがラスボスかもしれませんが、最後なのでなんとかクリア。途中色々ありましたが、セクション2以降ずっとパックで行動した 3 人でサブ27(26:55)の無事ゴール。良かったです。やっと晴々と気持ちもスッキリ年を越せます 。
ゴールは黒毛和牛の焼肉井とクラフトビールが迎えてくれます。
丁度お昼の時間だったので最高に旨かったです。 残念ながら焼きそば焼うどんは売切れでした。次回出場するときには焼きそばがある時間帯にゴールを目指すのもいいかもしれません。
生ビールは相変わらずタップが届いてませんでしたが、もうどうでも良い話です 。当初ゴール後は BBQ 的な話もありましたが、焼肉丼に変更となったことも賢明な判断でしょう。
そして良く見たら例のメロンパンが大量に佇んでます。賞味期限切れとのことでしたが、全く気にせず頂きました。さすが行列が出来るメロンパン専門店です。サクサク感はさよならしてしっとり系に変身されてましたが美味しかっ たです。 もうデポに入れたメロンパンの存在はどこかに行ってます。
所感
まだ3回目の大会ということ、また今年からコースが刷新されて全く新しいコースになったこと、等から運営面ではご苦労されていた部分も多かったのではと思いますが、主催者様、スタツフの皆さまのホスピタリティは最高でした。 東京近郊の 100kmクラスのトレラン大会は沢山ありますが、この大会も同様に人気大会になって欲しいと思います。
現時点で決してキラキラした大会ではありませんが、このアットホーム感は何ものにも代えがたい素晴らしい大会です(最近、キラキラ大会が苦手だし...)。人気の大会になって欲しいと願うものの、ここはこれからも守り続けて欲しいなと勝手に希望します。
コースは特徴的で、紅葉時期の景色も素晴らしく、普段なかなかアクセスできないエリアにも立ち寄れ、奥多摩をまるごと満喫できるのが本当に素敵なポイントだと思います。
エイドの充実度も目を見張るものがありますし、3 回利用するメイン会場でビールが飲めるのは現時点で他の追随を許さない圧倒的なストロングポイントだと思います。
完走率だけ見ても、従前の30%未満から70%以上に劇的に変化しているのはコース変更によるものと思われます。これまでの常人を受付けないオーラを放つ大会から、現実的に完走可能な大会に生まれ変わったTokyo100はみんなが普通に楽しめる大会だと思います。若干のハードボイルド感は漂いますが。
最後に「ひたすら」登って 「ひたすら」 下るコースプロフィールはTORの続習にピッタリです。
しつこいけど、ビールが飲めるのもTORの練習にピッタリ。
春のTGTと晩秋のTokyo100には、これからも出来るだけ選手もしくはボランティアで関わり続けたいなぁと思います。
プロフィール
- Team Trippers メンバー