レユニオン島112km走ってきた《くま》
走ってきましたレユニオン島!
■まずは、レユニオン島はどんなところ?
マダガスカル島の東680kmにあるフランス海外県の火山島です。日本との時差は5時間。
海岸からそそり立つ地上3,000mにもなる絶壁、霧と虹のかかる山肌、緑の生い茂る森林、切り立った崖から流れ落ちる無数の滝。
まさに”楽園”の中を走るレース、それが”Grandraid Reunion ”(グラン・レイド・レユニオン)です。
100mileレースの”Diagonale des Fous ~愚か者の対角線~”はとても有名なレースですが、その下のカテゴリーもあるなんてみなさん知らなかったのではないでしょうか。
私が挑戦したのはその下のカテゴリー”Trail de Bourbon”(トレイル・デ・バーボン)です。
1600年代、レユニオン島はバーボン島と呼ばれる時代もあったそうです。きっとそこから名が付いたんでしょうね。
■レース概要
レース名 : Trail de Bourbon(トレイル・デ・バーボン)
距離 : 112km
累積標高 : 6,468m
制限時間 : 42時間
参加人数 : 1330人(うち日本人 はくま1人)
■選手受付に向かいます 《10月16日(水)》
私たち旅の仲間4人はゴール地点のサン・ドニに宿を構えました。そこから受付会場があるサン・ピエールまではバスで2時間。
気持ちの良い快晴の海岸沿いを走ります。
会場はすでにお祭り騒ぎ!さすが島最大のイベント、島全体でこのレースを楽しんでいる雰囲気が伝わってこちらもワクワクしてきます。
受付の列では、言わずと知れたプロトレイルランナーの山本健一さん(以後”ヤマケンさん”)と合流。一緒に受付の列に並びながらおしゃべりしました。
実はヤマケンさん、乗った飛行機の預け入れ荷物が現地にまだ届いていないというアクシデントでてんやわんや中。
レース必携品や着替えなどは手荷物で持っていましたが、足りないものが多数あるそう。現地で調達したりと大変そうです。
(以後、無事にスタート前には荷物が届いたそうです。良かったです。)
ここで【海外レースお役立ち情報】
◯機内に持っていく手荷物と、預け入れ荷物はしっかり分ける!
預け入れ荷物が現地に届かないアクシデントは海外では頻繁に起こります。
レース用シューズや必携品、預け入れ禁止のバッテリー類は手荷物へ。ライトのバッテリー、携帯の充電に使うモバイルバッテリーなど気をつけてね。
手荷物検査でも必ず「バッテリー入ってる?出しなさい。」と言われます。発音が日本でのバッテリーではなく「ブラッテリィ」なので、くまは「ブレッドあるか?」と聞かれたと思い、「いいや、パンはないよ」と答えて???な顔を検査員にさせました。恥
■100mileを走る仲間3人が出発します 《10月17日(木)》
100mileのスタートは10月17日(木)の22時 、112kmのスタートは10月18日(金)の21時です。
日本から今まで行動を共にしていた頼れる仲間が宿を出発していきました。
明日は、1人でスタート会場のシラオスに向かわなければなりません。宿からはバスで3時間。レース選手用の送迎バスを予約してありますが、これを逃したらスタート地点に行けません。
フランス語は話せない、英語も中学生レベル。異国の地で孤独感が募ります。不安な気持ちをSNSに投稿するとたくさんの応援メッセージが日本から届きました。これを読んで不安が解消!ケ・セラ・セラ〜、なんとかなるさ!と気持ちを切り替える事ができました。みなさんありがとう!
■スタート当日 《10月18日(金)》
レース用のザックとドロップバッグ2つを持ってバス停に向かいます。30分以上早めにバス停に着きましたが、受付でもらった公式Tシャツを着ている選手がもうたくさんいます。「よし、この場所で合ってる・・・ホっ。」
バスに乗ること3時間、スタート地点のシラオスに到着です。途中はクネクネした登り坂が続いていました。乗り物に弱い私は酔い止め薬を事前に飲んで車酔いは回避しましたが、スタート直後にすぐ眠くなるという副作用が。
教訓 : 酔い止め薬は眠くならない成分のやつを選ぼう!
■レーススタート前
必携品検査をジェスチャーと少しの英語でクリアーし、スタート地点に並びます。スタートまではあと15分。
あちこち仲間同士でセルフィーで写真を撮ってます。仲間がいていいな!なんなら写っちゃおうかな!と持ち前の行動力を発揮し、撮影の輪に飛び込みます。
あきらかに知り合いではない日本人がニコニコ写り込んでる写真を世界中にばら撒きました!
シラオスの標高は1200m。陽が沈むとかなり寒い、冷え込み始めた21時、花火が上がりいよいよレースがスタートしました。
■レース模様①:Caverne Dufour 標高2478m
スタートしてまずは11kmで1400m登らなくてはなりません。関門時間は5時間30分。早くも登りが苦手な私にとって最大の難所です。
ここを克服するために、日本では1000m以上一気に登れる場所でひたすら登る練習をしました。
トレーニング場所:富士山0号目から山頂、奥多摩から大岳山、甲斐駒ケ岳、日光白根山、塔ノ岳
その甲斐あってか、関門時間に1時間半も余裕を持って登りきれました。頑張ったご褒美の神秘的な景色が目の前に広がります。
只今の気温0℃。風もかなり強いので体感温度はもっと低く感じます。景色にうっとりしている場合ではありません。先を急ぎます。
■レース模様②:Plaine des Merles 標高1805m
走行距離30kmを経過しました。1日目の夜が明け、2つ目の大きな登りに差し掛かります。昨夜の0℃から一転、今度は30℃の灼熱です。暑さが体力を奪います。
でも道中、小川の冷たい水や雄大な滝、日本では見られない景色を眺めていると幸せで、疲労より喜びが打ち勝ちます。
■レース模様③ Maido tete Dure 標高2030m
走行距離50kmを経過しました。先ほど眺めた崖のようなマイド峠に向かいます。選手受付の日にヤマケンさんがマイド峠は夜になる前に行った方がいい。すごく絶景だよと話してくれました。
よし、陽が沈む前に登り切ろう。そして夕陽を見るんだ。足も元気だったので快調に走ります。
■レース模様④
マイド峠を超えたところで夜になり、また冷え込んできました。エイドで温かい紅茶をもらいホッと一息。今度は標高2030mから127mまで永遠と距離17km分下ります。
スタートから2回目の夜を迎えました。ジャングルのようなトレイルを永遠と下ります。進んでも進んでも全然標高が下がっていかない。前後に選手がいなくて闇の中孤独です。睡魔が襲ってきて、人生初めての幻覚を見ました。(幻覚を見れてすごく嬉しい)
まずは落ちている葉っぱが全部人の顔に見えます。怖いのじゃなくてニコニコ可愛い感じ。
次にジャングルの奥に1本だけ電飾のついた木が見えました。まさにエレクトリカルパレード。楽しそう!近づいて行くとパッと消えました。
いよいよ寝たほうがいいかもしれない。丁度いいベンチを見つけて15分のタイマーをつけて目を閉じました。一瞬で眠りにつき、パッと目が覚めてタイマーを見るとまだ12分。
でも急速に充電されたみたいでもう大丈夫。ザックを背負いなおしReスタートです。のち、睡眠はこの12分のみです。回復力半端ない!
■レース模様⑤
走行距離90kmを経過しました。Le Possessionという港町に到着です。ここで朝を迎えました。
90Km走ってきた身体にこれでもかとムチを打つ10kmの石畳ゾーン。一つ一つがすごく粗い火山岩で私の気力とHoka one oneシューズのビブラムソールを削っていきます。ああまだ新しいのに。
もう高い山は登らなくてもいいと思い気を抜いてましたが、「レユニオンはそうは簡単にゴールさせないよ!」と石畳がニヤニヤ笑っているようでした。
■レース模様⑥
走行距離107kmを経過しました。ここまできたら後は下りの5kmのみです。疲労感はありますが、大きな身体の痛みはありません。なんて幸せな事でしょう。
沿道から 「ジャポネ、ジャポネ、ブラボー!!」
「ヘイ、Rino、Rino、コングラッチレーション!」の声が掛かります。
旅の仲間、ミキティ・マツーイ・ユウスケさんもゴールで待ってくれてます。早くゴールしてみんなに会いたい反面、楽しすぎてまだ終わりたくない感情に。
前後の選手とつたない英語でお互いの頑張りをたたえ合い進みます。
そしてゴール!!!
記録: 38時間27分49秒
走行距離 : 115.7km
すぐに登りで心が折れちゃう私を鍛え育ててくれたミキティ・マツーイ
フォームを改善し痛くならない身体にしてくれた あしラボ 小野寺先生
レース1ヶ月前の歩けもしない尾てい骨痛から復活させてくれた敏腕鍼灸師 坂本先生
一緒に冒険してくれた 頼れる友人ユースケさん
共にレッスンを頑張ってきて、遅い私を引っ張ってくれたチームトリッパーズのみんな
日本から応援してくれたみなさん
本当に本当にありがとうございました。
プロフィール
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飛騨高山出身です。中学から始めたバスケットで、高校生の時には全国制覇を目指しガチにやってました。そして体育大学入学をきっかけに東京へやってきました。
大学卒業後は、スポーツとは無縁のゴロゴロ生活を長くしていましたが、2015年冬の全国大会で母校が全国制覇を果たした瞬間をコートサイドで見て、その後輩たちの姿に感動し、刺激を受け、また身体を動かしたくなったのが走り始めたきっかけです。
会社の仲間に誘われ、1年後の2016年「TOKYO八峰マウンテントレイル」に出場したのが、私のトレランデビューです。その時に立川でトレラン専門ショップがOPENすると知り心躍ったのを今でも覚えています。
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