トルデジアンに行ってきたよ Season2 〜Dead Reckoning〜[高瀬治夫]

うなだれる様子がなんとも?
〔introduction…〕




別に暇に任せてピザやジェラートを食べるためにイタリアに来た訳ではない。
ドコで間違えたのだろうか。
凡人が凡人のまま来てしまったことが間違いか。多分そう。
TORの完走を全く疑わずに出国した呑気な自分が眩し過ぎる。
しかしまあ昨年と同じ場所でDNF。時間は190.5km地点で止まったまま。現実はこんなものだ。
ツアー同部屋で完走したツワモノ君(おめでとう!)から、完走には“仕上げた身体に纏う覇気”が重要だと云われた。ナルホ…ん?凡人の自分には正直よく分からないけど、凡人なのに準備も気持ちも絶対的に足りていなかっただけだと気が付いた。悔しがるのは少し違うぞと。つまり当然の帰結(dead reckoning)。
今回のブログ執筆にあたりどの面下げてと思いましたが、何故か沢山の方からの続編希望リクエストと、朝長店長からの強い推しに籠絡されました。耐え難きを耐え忍び難きを忍んでの続編(Season2)です。あまり筆がすすまず、盛り上がらずの内容でスミマセン。
基本的には凡人目線の綴りになりますので、温かい目でみてください。
昨年のSeason1はこちら⇒ 準備編 エピソード1 エピソード2
今回は前回との対比で感じたこと(色んな意味で)を中心に書きます。
[Section1]
・区間48.5km 4,032D+ 3,459D- (4,339D+ 3,877D-) カッコ内は昨年数値、コース変更なし
・想定時間14:30 結果14:57(14:32) 予定より27分、昨年より25分遅れ
3つある大きなコルの攻略がsection1のカギ。
昨年は2つ目で力が入らずに早々にゾンビ化し、3つ目でスイッチ入るもシングルトラック渋滞の低速歩行&暴風雨による低体温リスクに動けなくなる人続出で修羅場の様相だった。
今年はというと、何故か3つともずっとカが入らずに登れないという何とも情けない状況。登りのスイッチの在処が全く分からない。
好天の影響か全体ペースは明らかに昨年より早く、昨年自分はボリュームゾーンのド真ん中だったのに今年は明らかに下位15%くらいの位置取り。3つ目のコル攻路途中で振り返ったらヘッデンの灯りの列が明らかにそこいらでもう途絶えていることが視認できた。流石に自らの登れなさ加減にも嫌気がさしてくる。スイッチはどこにもない。
でも不思議と昨年のように「とんでもない大会に来てしまった」ような絶望感を感じることはなく「ま、こんなもんだよな」と思えた。これは2回目故の心の余裕?
この3つ目のコルを登頂すると、そこには簡易なエイドがあるのだが、人も居なければ水もない状態。嫌な予感。もう撤収の雰囲気である。このペースだと先のエイドでも品切れ多発を覚悟したほうが良いだろうと悟る。(実際そうだった(-_-;))
3つ目のコルから下界におりたsection1最後のエイドまでが長かった記憶だが、天候のせいか今年は意外とあっさり到着してしまう。昨年は既に足の爪マメ間題で下りに相当苦労していた状況だった一方、今年は全く違和感ない状態で余計なストレスがなかったのが大きかった。
そんな気持ちの余裕や足のコンディションの違いがあるのに、この区間のタイムが昨年と変わらないのは正直不本意。(結構頑張ったのになぁ..でも辛くても進んではいたのだ..)
LB1-Valgrisencheに到着
コースコンディションが非常に良かったが、私は大雨だった昨年より25分遅い。ずーっっと全く登れない状態だったのだからこんなものだろう。
一方で上記の通り全体ペースは明らかに昨年よりもハイペース。
結果として、もう殆どの人がLB1を出発した後で、主を待つデポバッグが殆ど残っていない状況からもそれは明らかだった。昨年のLB1は大混雑の野戦病院で、狭い、汚い、うるさい、臭い、水浸しと、衛生面でも問題大ありであらゆる不平不満をぶちまけたくなる状況だったが、今年は閑散そのもの。まあ快適でした。
でも、今回LB1では寝ずに補給と装備を整えて出発する作戦だったので、そこは予定通り執行。
但し気が付けば随分と長い間滞在してしまった。大いに反省すべき点。60分以内に出発するつもりだったのに。
※LB1 滞在時間1:18 (2:45)
※section1のLB以外のエイド滞在時間0:46
最後にどうでもよい情報だが、ツアー参加者の第2ウェーブ組で、昨年は私がー番早くLB1に到着したが、今年はほぼビリである。メンバーが異なるので比較に意味は無いが、いろんな意味で高速化の雰囲気を物語っていたと思われる。
あともう一つ本当にどうでもよい話だが、この区間で3回ほど、中国人からやたらと馴れ馴れしい態度で迫られた。「何無視してるんだよ」くらいの雰囲気で肩を組まれたりした。どうやら私にそっくリな中国人運手が参加していたようである。疲れている脳に「コイツ誰だっけ」と考えるのは意外と苦痛だ。
[Section2]
・区間 55.5km 4,456D+ 4,453D-(4,943D+ 5,098-) カッコ内は昨年数値、コース変更なし
・累積 104km 8,488D+ 7,912D-
・区間想定時間 22:10 結果21:07(21:07) 予定より63分貯金、昨年と全く同じ(マジか)
・累積想定時間 37:40 結果 37:22(38:25) ほぼ予定時刻に復帰、昨年よりも約1時間早い
コーススペック的には最大の難関区間。
Section1よりも遥かにデカい3つのコルを攻略する必要があり、特に3つ目のCol LosonはTOR最高標高の約3,300m。といっても今シーズン4回訪れた北岳より約100m 高いだけだから気負うほどでもない。
この区問で想定スケジュールの帳尻があったが、途中であわよくばと思っていた2時間の睡眠を省路しただけ。区間タイムは昨年と全く同じという何とも複雑な心境。睡眠の省略ほどタイムは縮まらずである。
といってもこの2時間の睡眠はあくまでも"あわよくば"というオプションであり、当初からプランAでは予定していなかったので心理的ダメージもない。最初からsection2終了までの約100kmは寝ない作戦だ。
この区間、実はシューズを履き替えて挑んでいた。
Sectin1で快適だったNike Zegama(Zegama1)をZegama2にチェンジ。最近ずっと履いているZegama2、メーカー日く足型は同じだというものの、実際は僅かにつま先が細い気がしてならない。TORほどの長丁場に若干でも不安があるのは嫌なのでスタート時は安心の実績があるZegama1で大正解。
そこで「これはZegama2でも行けるかな、section2のコルの下りは滑るしな」と思いローテーションのつもりで履き替えてみた。なんせZegama2はNikeのくせにメガグリップなのだ。
最初の2つのコルは相変わらず登れない。前回は1つ目はかなり登れたのに今年は全然ダメ。ということはsection1の最初から5つのコルが全然登れないという事態が続いていた。これまで眠気は一切なかったので純粋に今回の自分の登坂耐性の問題だろう。泣きたくなってきた。
しかもこのsecton2の最初の2つのコルの下りで、履き替えたZegama2が結果仇となってしまった。去年みたいに爪にダメージを与える雰囲気がじわじわと強まり、修正が効かず思うように下れなくなる始末。日本ではあまり出会えない長い下りに牙を剥かれた。
Col Loson
3つ目のCol Losonに挑む前の大きめのエイドはツアーサポートが入ったエイドで、ツアードロップに前日履いていたZegama1を忍ばせておいて命拾い。万死一生の想いで慌てて履き直した。
ここで色々と気持ち的にも整えてリセットしてスタートしたら、漸く登りのスイッチが入った。
以降、あれだけ苦労していた登りが何とも思わなくなり、淡々と登れるようになった。本当にスイッチが見つかってほっとしたが、見つけるのに28時間近く要してしまった.(これからも簡単には見つかりそうにない)。
Col Losonは本当は明るいうちに超えたかったけど、標高3,000m付近で日没。
ココは昼と夜では全くの別世界だろう(昼に来てないから知らんけど)。
昨年は暴風で本当に寒くて怖かったが、今年はそこまでではないもののやはり突風だ。夜間の標高3000m超の突風 岩稜帯はなかなかスリルがあり、マーキングを探しながらの行軍には恐怖感を拭えない。皆自分でルートを探すのが嫌になり、直ぐに誰かの後ろに着きたがる。
今年もイタリアンダチョウ倶楽部が「どうぞどうぞ」と激しい先頭の譲り合いに火花を散らしていた。本当にウンザリだ。
次回は絶対明るいうちにCol Losonを超えてやると心に誓うのだった。(今思おうと今回は暗くなってからここを超えた人はそれほどいなかったみたいだ)
因みに2つ目と3つ日のコル登頂後の先には簡単なエイドがあるのだが、予想通り既に誰も居ない、一滴の水も残っていない状態だった。私のポジションでは「そうだろう」と期待していなかったので特に問題はない。
今回、眠気対策は完璧だった。
どこで発動させたかはっきり覚えていないがsection2の途中からだったと思う。兆候を察知した段階でさっさと発動。おかげで”section2終了までの100km寝ない作戦”遂行中に睡魔に襲われることはー切なく、眠気とは無縁で進めたのは大きな収種。対策内容はあまり他人に推奨できる代物ではなく、きっと個人差も大きいと思われるため、この場での公開は差し控えたい。(捉え方や個人差によっては危険な手法かもしれないし)
前回はCol Losonからの下リで完全に頭が壊れ、奇行を繰り返したことを思い返しつつ、しみじみと冷静にコースを確認しながら下った。ハンドライトで周囲を入念に確認し、前回陥った”無限ループ地獄”は単なるしつこい九十九折りでしかないことに気が付いた。頭は極めてクリアである。
途中にある山小屋エイドより下の部分も、前回は夢遊病者の如くツアー仲間のウエダ氏に着いていっただけだったが、今回は冷静に観察しながら街まで下リた。そうはいってもここは全く好きになれない変テコリンな道であることに間違いないことが確認できた。
そうそう、シューズも初日のZegama1に戻していたので下りも快適ノンストレス。若干の爪の痛みは残ってしまったが昨年に比べれば気にもならないレベルだった。
LB2- Cogneに到着
シャワーを浴び、一通りのことを済ませ、ここでは1時間の睡眠もとった。そう寝ました。
前回あれだけ眼れずに苦労したものだが、100kmとおしで流石に体と脳が疲れていたのと、睡眠対策も奏功したのだろう。前回は耳栓が見つからなくなり、疲労からどうでもよくなってしまったが、今回は大量の耳栓を用意し、手をつけそうな至る所に配置しておいたので難なく発見できた。たった1時間だが眠れたので気分も良い。値が張るので1つしか用意しなかったが高機能耳栓の効果も上々だった。
昨年は多くのツアーメンバーがまだLBに居たが、今年は自分が到着して身支度整えて寝る準備をしている頃には全員出発していった。前述のとおりメンバーが違うから昨年との比較には意味はないけど、それ位の時間軸の差が既に あったのだ。
※LB2滞在 3:27(3:30)
※section2のLB 以外のエイド滞在時間 1:29 ←長い!
※累積睡眠 1時間
[Section3]
・区間 45.8km 2,183D+ 3,095D- (2,768D+ 3,981D-) カッコ内は昨年数値、コース変更なし
・累積 149.8km 10,671D+ 11,007D-
・区間想定時間 13:35 結果 13:35(15:10) 予定通り(予定通りすぎ!)、昨年は小屋で1時間寝る努力をした
・累積想定時間 54:45 結果 54:24(57:06) ほぼ予定通り、昨年よりも約2時間半早い
昨年よりも1時間以上早くLB2-Cogneを出発。
昨年は誰も居らず何もなかったseotion3最初のエイド、今年は普通にやっていた。
次のエイドのドンデナ小屋まではLB2から20km以上あるので、この最初のエイドの有無で全然達うのだが、あてにできないと考えザックに1L水を追加していた。エイドがあったのでここで水を調整した。
Section3の大きな登りは1つだけなのだが、昨年は睡眠負債のせいでゾンビだった。
今年は僅かでも睡眠がとれ、眠気対策も完壁に機能していた(ここの登りでも兆候を察知して早々に発動)のと、登りのスイッチがずっと入っていたおかげで、ストレスを感じずに淡々と登れることができた。昨年は大変な苦痛だった記憶しかないので、雲泥の差とはこういうことを言うのだろうとか思っていた。何で雲と泥を比べるんだよ…とどうでもいいことを考えることも忘れない。
section3はコースプロフィール面からボーナスステージと言われることがあるが、今年は確かにボーナスだったかもしれない。
30kmの下り
それでも中盤以降の30kmに及ぶ下りはやはり難敵だ。
昨年はあまりの睡魔から途中のドンデナ小屋で1 時間寝る努力をして30分程やっと寝た。今年はエイドで休憩はしたが30km一気に下った。これだけ長い下りによる膝へのダメージはやはり大きく、丁寧に下ったつもりだったが、右膝の奥の方に痛みが蓄積してきてしまった。後半は右膝が結構痛くなりなかなか参った。
街に下りてからLB3迄の道のりが長いのは承知しているので気にしない。(意外とこのLBまでの距離の長さにやられる人が多い。)昨年よりも2時間半位早いのでまだ全然明るい。史跡のバール要塞、ローマ街道のトンネルも昨年はライトアップされていたので全く違う景色が広がっていた。
LB3-Donnas到着
既にツアーメンバーは全員出発済とのこと。くどいようだが、これでも私は昨年よりも2時間以上早い到着である。昨 年は大勢のツアーメンバーとここで過ごした記憶を懐かしんだ。
同様にLB自体が既に開散としている。このLBはベッドスペース自体が狭くて、昨年は寝床確保が困難だったが今年は余裕である。所謂ガラガラ。
シャワーを浴びて、ビールを飲んで、まだ外が明るい時間帯から2時間半程ベッドに横になった。2時間位は眠れたと思う。
4時間滞在を予定していたが、睡眠を優先して4時間半滞在しようと予定変更。が、実際は5時間近く滞在してしまった。LBで気が緩むとあっという間に時間が経過してしまうので要注意だ。
また、先の下りでダメージを受けていいた右膝深部の痛みについては、 サポートの方からアドバイスを貰ってマッサ ージガンでグリグリ要所を攻めたらあら不思議。殆ど気にならないルベルにまで回復。ありがとうございます。
当初予定より30分遅れで出発したのだった。
※LB3 滞在 4:52(3:45)
※section3のLB以外のエイド滞在時間 0:44 ←やはり長い
※累積睡眠 3 時間
[Section4]
•区間 54.1km 5,189D+ 4,1112D- (5,933D+ 4,811D-) カッコ内は昨年数値、コース変更なし
•累積 203.8km 15,860D+ 15,119D-
•区間想定時間 26:00
•累積想定時間 84:45
⇒結果 190.5km(Niel) 15,002D+ 14,166D- 地点でDNF 累積81.:23
前回も書きましたが自分にとって「魔」のsection4です。
ここから本当のTORが始まるとよく言われますが、実際そうだと思います。凡人にはかなり厄介です。コースの破壊力ではsection2のほうが上だと思われますが、150kmを超えた状況で迎えるこのsectionはメンタル的にも要注意の難所です。2年連続ここでDNFなのでこの section を称えるほかありませんて。
LB4- Gressoneyにまで辿り着ければ、一説によると完走率は80%位とか。
しかし、ここの関門設定が特に厳しめであり、比較対象が適切かどうかの議論はあると思うが、Tokyo Grand Trail 100mile(TGT)のA3佐野川エイドみたいな存在です。(極地的にしか分らない内容でスミマセン)
今年は行けたと思ったのですが、また跳ね返されました。凡人でもTGTは2回目で突破しましたが、TORは流石にそういう訳にはいきません。
同じ場所(190.5km地点)です。人間同じ過ちを繰り返すとかなり凹みますが、凡人ですからさもありなんかな。凡人が凡人のまま辿り着ける限界点が190kmだと遺伝子レベルで設計されているのかもしれない…とか意味不明な事を真面目に考え始めています。
こうなったら世の凡人に勇気を与えるため、意地でも凡人のままでの限界突破を成就させる使命を感じます。(イヤ、ここは凡人を突破する努力をするほうが先だろと、突っ込まれているのは承知です)
Coda小屋~Barma小屋~Vecchia
LB3-Donnasは標高300m程のTOR最低標高地点であり、そこからこの区間のハイライトであるCoda小屋までは約2,000mD+。途中多少のギザギザはあるけど、この2,000D+に昨年は完全にノックアウトされていた。登りでの睡魔との闘いでこれほどまでに辛かった記憶はありません。
だが今年は全く眠くない。相変わらずスイッチは入っているし、眠気対策も確りと機能していて気分的にはかなり楽でした。それなのにタイムは昨年対比で30分程度しか早くない。感覚と現実のズレですかね。まあ、辛くなく楽しく登れたので良しとしよう。
その後のバルマ小屋までのルートも皆が嫌がるパート(距離のわりに時間が非常に掛かる)ですが、ここも順調にストレスなく到着。昨年はあんなに辛かったのに。でもやはりタイムは7分しか縮まってい。
受けた印象は違えど、昨年も今年もタイム的には大差なしだった。実力相応で成長なしといったところか。辛くても辛くなくてもあまりタイムに影響が出ないのは自分の特性かもしれない。考えものだが、それならば辛くない方が良いに決まっている。
また、この辺りになってくるともうどこのエイドも店仕舞いの雰囲気。有名なバーベキューエイド(vecchia)など今年も縁がなかった。明らかにバーベキューで肉を焼いていた石はどかされ、ゴミが燃えていた。
もっとペースを上げないとエイドでろくなものにありつけないということが良く分かった。
実は凡人には優しくないということをこの辺りからもジワジワ感じる。特に昨年と今年の違いという面で大きかった。
いざNiel
そして運命の190.5km地点Nielまでの下りに突入。
昨年よりも2時間程早い。情報によれば2時間半位で到着するルートらしい。
前回は下り始めて早々に暗くなったが、今年は暗くなるまで3時間近くはありそうだし関門まで4時間半もあるのを確認。「余裕だな」と思いましたね。松坂大輔ばりに確信してしまいました。
このとき相変わらず眠気とは無縁状態だったが、ある意味、無理矢理覚醒させている状況だったから脳は相当疲れていたのかもしれない。
前後に全く選手が居ない状況が随分と長いこと続いていた。誰も居ないのです。ずっと。今年のレースペースと自分のペースを恨む他ない。
このNielへの下りが本当に嫌らしい道なのだが、正直殆どの選手の記憶にも残らないような場所みたいです。
多分前後に人が居れば流れでそのまま何の憂いもなく通り過ぎてしまうところなのだろう。
一方でずっと”ぼっち”の自分は何故か幾度となくロストを繰り返す。まだ明るいしフラッグはあるし、GPXデータ的にもオンルートなのを認しながら進んでいたのでロストなどしようもないと思うのですが、気が付くと変な場所に居る… 段々と不安の芽が生まれてくる。
後日、他の選手に確認したけど皆一様に「あんな場所でロストしようがないでしょ」というそっけない回答ばかり。凡人の主張に賛同してくれる人など誰もいませんし、リアクションは一様に、
「頭がおかしくなっていたんだよ」
です。
認めたくはないけど、今年も同じ場所で頭が壊れていたかなぁぁぁ。
全く眠気はなかったし、昨年のように黄色いフラッグのマーキングを悪戯だと決めつけるような奇行には至らず、信じて進んだのだが。
余りにもロストを繰り返すので、時間も気になってきて若干のパニックはあったな。でもその都度、時計を見て時間的余裕に問題ないことを確認して落ち着きを取り戻したつもりではあった。
ただ、とある場所で明らかに判断を間違えてしまい、その過程でポールが2本同時に折れ、右足首が岩に挟まってあらぬ方向に向いてしまう訳です。ポールは仕方ないとして(デポに予備あるし)、チョット足首はやってしまいました。
その後は結構急な下りで、おかしくなった右足首とポールがない状況の相乗効果から、キロ1時間位のペース(ログが消えたので体感)に落ち込んでしまいます。
葛藤のちDNF
それでも何とか現場のNielには関門の1時間以上前に到着。
結構ボロボロでした。右足首が。
それでもメンタルはギリギリ繋がっていた。はず。
次のLB4まで約13km 850D+,1000D- 関門まで4時間半。その時は十分行けると思い直ぐに出発。
でも30分経ったあたりで500mも進めていないことを自覚して自問自答です。
足首が結構痛かったですねぇ..
この状況とペースで山に突入したら確実に動けなくなると分かったので、散々葛藤はしたけどNielに戻ることにしました。戻るのに30分、合計1時間位Niel周辺を徘徊しながら堂々巡りの思考の中、関門数分前に人生初の申告DNF。(Nielのオフィシャル記録は申告DNFの時間に上書きされていた)
客観的な状況からは、今考えても判断として間違っていなかったと思うものの、それとは別に色んな感情が湧いてくるものです。
「ここまで来てもったいない(本当に色んな意味で)」
「関門で止められるのではなくて、自分からやめちゃうの?」
「行けるところまで行こうよ」
「またここで終わりかよ」 かな。
気持ちではには行けるところまで行って終わりたかったけど、それは単なる自己満足や我がままでしかなく、そのようなリスクを取るべきではないのは分っていたので止めました。(因みに、後日完走者の記録を見ていたらこの区間を4時間半以内で突破している人は相当早い方々でしたね..)
チャンスは今後もあるだろうし。
社会的にはだいぶ軽い存在ですが、それでも背負うものはある訳で。
生活や人生を掛けている訳ではなく、あくまでも趣味ですから。
と自分を正当化させました。
それでもやはり、殆どの選手の記憶にも残っていないNielへの下りにうなされました。数日ほど..
仇討ちはやはりいつか完走するしかないのかな。昨年は関門に1時間以上間に合わなかったが、今年は1時間以上前には到着。都合2時間以上はタイムは短縮したものの、2時間/150時間だから殆ど誤差。2時間なんてエイドワークのほうがインパクトが大きい位だ。整理にはもう少し時間が必要です。
[余談]
完走率は例年50~60%前後のところ、今年は65%強だったようです。
終始好天に恵まれた絶好のコンディションだったのが好影響したのでしょうか。なんと完走メダルも終盤は足りなくなっていました。(写真撮影用に1つを使いまわしていました)
荒天だった前年の完走率が低すぎて、今年の完走メダル数を読み間違えたのか、単純に今年の完走者が多すぎたのか。(前年は完走率は半分以下だったはず。)
今年は日程的に最も遅い開催日でしたので、どれだけ寒くなるのかが勝手に注目されていましたが、完全にはずれて終始好天。こんな条件で完走できなくていつ完走する?、と思うと思いっきり悲観的にもなりますが、よく考えたら自分はあまりコンディションが良いと結果が出ないことのほうが多いな。TORは天候も含めて楽しみたいですね。
まあ、それと完走が全く次元の違う話だと早く気が付いて欲しいです。
次回はどうでしょう。既にHPには載っていますが9月第二日曜日スタートなので「2026/9/13スタート」です。今年より1日前倒し。
来年こそ寒いのでしょう。臨むところです。
世の凡人に希望を与えるタメにも、このまま凡人として完走することの重要性を噛みしめてまた来年(以降に)。
※Season3~Final Reckoning~は製作費の目途がついていないため公開未定です。
プロフィール

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Trippersのトレイルランニングチーム。
走力を上げる事を目指すのではなく、月に一回みんなで山を楽しむというスタンスで活動しています。
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