Mt.FUJI100 ~ゆるふわハイカーはいかに100マイルを攻略するか~《辻 郷》

はじめましての方ははじめまして、2回目の方はお久しぶりです。チートリのつーじーです。

わたしは、学生時代、陸上経験がないどころか運動部であったことすらありません。
はるか昔の話なので、だからどうしたという部分はあるのですが、他のチートリメンバーと比べると、やはり身体運用の基礎が身についていないと感じます。

また、「走るのが好きではない」と公言してはばからず、かといってハイクに勤しむかといえばそうでもなく、サンデーハイカーとしてもかなりゆるい部類に属しています。

そんなわたしでも、FUJI100miは完走できましたので、

同じようなスタンス、走力の方の参考になればと、今回筆をとらせていただきました。

【本稿執筆者について】

◆ITJ、ハセツネ、フォルモサと70Kクラスは完走経験あり。100Kクラスの完走なし。FUJI100miは昨年リタイヤ、もちろん100miの完走もなし
◆レース中によく見舞われるトラブルは、汗冷えによる腹痛・下痢。汗っかきのため脱水、低ナトリウム症、全身の攣り。暑いのがダメで熱中症。
◆逆に、いくら寒くても平気。豪雨も問題なし。夜道は楽しい。
◆安全マージンをかなり取るので、早い段階でリタイヤを選択することが多い。
◆2026FUJI100の前に完走したレースは2025の5月彩の国リレー(50K)。これ以降はロードも含めて全て漏れなくDNFかDNS。ただし、ロゲは除く。
◆なので、ITRAスコアは驚きの379。当然、Wave4スタート
◆フルマラソンのベストは4時間24分ちょい。条件が揃えばサブ4はできるとは思うし、カロスの予測タイムは3時間55分。ただ、あくまでタラレバ。
◆練習場所は「よこやまの道」という近所の里山ほぼ一択。
◆月間走行距離は平均140K。ただし、1日4Kの犬の散歩を含む数字なので、「走った距離」だけでいうと、月100Kを大きく下回ります

【FUJI100miについて】

これを読んでいるみなさんにはいまさら説明不要でしょうが、念のため。

2026のFUJIはこんな感じ。

距離:165K
累積:6,461mD
制限:44時間45分(wave4なので)

2026のコースの特徴としては、
•F2麓のあとの竜ヶ岳がなくなり、本栖湖まわりになりました。
•ドロップバックの受取がF5忍野(116K)に変更に。
•F6きらら-F7二十曲のルートが一部崩落し、石割山経由に変更。

【結果】

タイム:39時間11分56秒
順位:653/1408

え?うそでしょ??

と思いますよね。わたしも思います。
サブ4すらしてなくて、最後に完走したレースがほぼ1年前で、100Kクラスの完走経験もなく、この結果。
さて。どうやったらできるでしょうか?

【完走のポイント】

本文長くなるので、先にポイントを示します。
わたしたちのようなゆるふわハイカーがFUJIを完走するためには、以下が必要です。

サポートは絶対につけよう。
◆走力はほとんど関係ない。歩きの速さが一番重要。
◆自分の得意不得意や固有トラブルへの対処法を把握しよう。
パニック・バイは本能の叫び。従おう。
◆現代競馬は圧倒的に逃げ馬有利。FUJIもまた同じ。

【2025FUJIの振り返り】

まず、前提を共有します。

2025のFUJIは忍野でリタイヤです。
ちなみに、これがわたしの最長距離で最長行動時間。

Wave4スタートで、スタート後17Kくらいから始まる鉄塔区間の渋滞でおよそ2時間停滞しました。F1富士宮に入ったのが制限21分前。
そして、ここからリタイヤまで27時間もの間、常に関門に追いかけられ続ける展開でした。

ずーっと時間だけ気にしていました。

忍野に着いたのが20時頃で、ここの関門までは2時間余裕はありましたが、その先のきららまで行けても富士吉田でカットされるのはほぼ確実。
FUJIの関門は一定のペースで追いかけて来ず、急に速くなったり遅くなったりするのです。

であれば、車を停めている富士山パーキング(北麓)に一番近いこの忍野でやめて帰るのがよろしかろうと、さっさと忍野でやめてタクシーを呼んでスーっと北麓に帰りました。4,000円くらいでした。

2025のFUJIは、知らぬ間に出走資格を得ていたので、じゃあ出ておくかくらいの気持ちしかありませんでしたので、やめる際に特に抵抗はなかったのです。

いま振り返っても、富士吉田か二十曲かで引っかかるはずという判断自体は妥当だったと思っています。まず引っかかったでしょう。
ただ、引っかかるのが確実だということと、引っかかるまで進まずにさっさとやめるという決断をすることは別の話で。

完走したみんなの話を聞いたり、レースを振り返ったりしてるうちに、すごくやり残した感が湧いてきてしまいました。

何しろ、やめた理由が「時間」だけだったので。

【2026FUJIに向けて】

2026で完走するためにどうするか。
最初に決めたのは次の2点。


Wave3に入って渋滞を回避する
◆簡単にやめると言えない人にサポートをお願いする

2025のWave3の完走者に話を聞けば、渋滞はあるにはあったが、そこまでではないとのこと。
そこでまずは、Wave3に入るためにITRAスコアをモリモリ稼ぐことにしました。

なるべくマイナーなレースで、トップタイムが極端に速くならず、距離が短い、初心者や入門者が多く参戦すると思われるレースにエントリーしまくりました。
戦略自体は正しかったと思いますが、あえなく失敗。先に述べたように全てDNS又はDNFです。詳細は後述します。

次に、サポートをチートリナビゲーターのMKT(「みきてぃ」と読む)に依頼。
彼女のレース経験、サポート経験が豊富だというのもありますが、自分の友達の中で最も「やめたいです‥」と言いづらい相手です。

例えば、2025のFUJI。
仮にMKTにサポートを依頼していたら、忍野でやめることは絶対にない。最終サポートエイドのきららはまず間違いなく通過します。
その後、二十曲でカットされるか、富士吉田で時間切れになるまで進んだでしょう。


ともかく、そういう存在を置くことで、自分から簡単にやめられない状況を作りました。

【練習と怪我と】

わたしが通常運転で走っている場合、月間走行距離はおよそ100Kくらいです。

嘘です。80Kくらいです。(先の140Kというのは、2025のFUJI向けに練習したからで、ある意味異常値です。)

さすがに、それで100マイルを完走できるとは思わないので、例年全く(文字通り全く)走らなくなる7、8、9月も頑張って走りました。

これがよくなかったのかなんなのか。
秋ごろから、ジョグをすると、何をどうやっても足が痛むようになってしまいました。
しかも、足首、膝、股関節と、痛みの出る場所がその時々で違います。あまりに痛むので走るのがより一層イヤになっていきました。


記録では、9月は130K、10月は50Kとあります。これには犬の散歩を含むので、実際には9月は80Kくらい、10月は10Kくらいでしょうか。


正直、この時期はFUJI完走どころではないというコンディション。

スコア稼ぎのためにエントリーしていたレースも、全てDNSしています。
そんな話をチートリメンバーのレオレオにしたところ

「それは明らかにおかしい。きちんと病院に行きなさい」

とアドバイスをもらいました。

たしかに、夏までは月に一回程度しか行っていない鍼や整体に、秋には週に二、三回の頻度で通っています。
まあ、なんかおかしいです。

そこで、スポーツ整形を探して受診したところ、「変形性股関節症」と診断されました。
MRIを見ると、右の大腿骨の骨頭に変なコブができています。これが受け側の骨と当たって股関節まわりが痛む。
ここが痛むから、走り方で調整しようとして、膝や足首に負担がいってまた痛むということのようでした。

進行すると、最悪の場合は人工股関節。
ただ、現時点ではそこまで重症ということではなく、リハビリをして身体の使い方を変えれば問題なく動けるようになるはずと言われました。
ここが10月末。レースまで残り半年です。

11月と12月は、走っては痛みが出た箇所を理学療法士さんに伝え、痛みが出た理由を探り、身体の補強やフォームの改善を重ねるフェーズ。

11月にはOMMに初参戦しましたが、バディに泣きを入れ、2日間完全に歩き通しています。もし初日に走ると、2日目歩けなくなるおそれがありました。

サポートをお願いしたMKTからは、2026は諦めて2027を目指した方がいいんじゃないか?とも言われていました。
でもね、実は2026に完走しなきゃいけない理由があったんです。

10年間チートリを率いてきたMKTとタローが、2026をもってナビゲーター職を退くことが決まっていました。
わたしは、この2人と、この2人が作ったチームがなければここまでトレランを続けてきていません。それくらいいいチームだった。


ただ、他のチームメンバーはちゃんと練習するから、どんどん強くなっていって、100miが当たり前みたいになっている。
一方、わたしは相変わらず、忍野でタクシーに乗る始末です。

もともとチートリは、練習して速くなろうというチームではなく、みんなで山に遊びに行こうというチームでした。
だから、2人が退く前に100miを完走して、遊んでるだけのわたしでも100miを完走できたよと伝えておきたかったんです。
チームコンセプトは間違っていなかったよと。

言わば、勝手卒業試験です。

【フォーム改善の結果】

あれこれ試行錯誤していると、年が明けた1月上旬、明確に身体の使い方が変わった瞬間がありました。
ああ、あの人が言ってたあれはこういう意味か、こっちはそういう意味だったかと頭の中にある知識と身体の運用がリンクしだしました。


特に顕著に出たのが、登りの楽さと平地のスピードです。

ただ、完全にはコントロールできず、うまく動かせたり、ギクシャクしたりの繰り返し。
足の痛みはほぼ出なくなっていましたが、残りはあと3ヶ月

ここからは、日常生活を有効活用することにしました。
通勤の行き帰りや犬の散歩を、山を歩いているつもりでフォームを確認しながら歩いたり、駅の階段の登り降りも、急登や木段のつもりで動きました。

おそらくですが、今回のFUJI完走に一番繋がった練習はこれです。

30時間台前半かそれより速いランナーならともかく、完走狙いのランナーの場合、レース中に走っている時間は思っているよりずーっと少ないです。ずーっとです。

ですから、最悪なのは、歩くことそれ自体ではなく、ダラダラだらだら歩いてしまうこと
いかに楽に効率的に速く歩けるか、というのが、タイムを縮める、ひいては完走するための鍵になります。

その意味で、FUJIにエントリーできる程度に走れるなら、それ以上の走力アップは完走とはほとんど関係がありません。
歩く力を磨くべきだと思います。

【最終調整】

残り期間も少なくなった3月4月、ロードでは東京マラソンでサブ4を狙い失敗(暑くて低ナトリウム症になった?)、青梅高水では周囲のスタートダッシュに乗っかって足がバキバキに攣って8KすぎでDNFしています。

ただ、チートリの練習会で箱根を50K、ダメージなく回ってこれました。
「楽しく走る」コンセプトとはいえ、チートリの練習会は、基本わたしのレースペースより速いので大抵つらいんですが、今回はそんなこともなく比較的余裕がありました。

これらのことから、レースの結果はともかく、楽にスピードが出ることと、登りが楽に速く登れることは確認できたので、自分としてはFUJIはいけそうだという感触を得ていました。

とはいえ、まわりのみんなはヒヤヒヤしたんじゃないかと思います。特に青梅高水8Kリタイヤには。

ちなみに、そんなこんなで、月間の走行距離が200Kを超えたのは一年間で3月の一度だけです。
みなさん距離を指標にしがちですが、必ずしも距離がなければダメというわけでもないと思います。

【装備について】

装備については、FUJIに出ようとしているみなさんなら、すでにある程度の選別が進んでいることと思いますので、お好きにどうぞという感じではありますが、今回もし持っていなければ危なかったというものだけ紹介します。


◆イエローフィルター付きのハンドライト(ledlenser)
◆アームカバー(nitecore?どこかでもらった)
◆腹巻き(山と道)
◆トレイルエマージェンシーベスト(TNF)

まず、2026のFUJIは前日から当日朝にかけて、かなりまとまった雨が降りました。天子カットを祈るほど。

そして、一晩目も二晩目もかなり濃い霧が発生しました。
わたしの場合、一晩目が天子の登りから熊森山のくだり、二晩目が杓子です。
通常のヘッドライトでは光が拡散してしまい、くだることはおろか、登るのにも苦労しました。

イエローライトを持っていなかった選手は、特にズルズルのくだりで相当苦労していたように思います。サーフェスが全く見えないのに滑りますから。


ウエストライトでもいいとは思いますが、わたしはあれは光源が不規則に揺れて酔うので苦手で、かつ、手が塞がることに抵抗がないので、ポイントで照らせるハンドライトの方が圧倒的に楽なんです。
これで、夜道、濃霧、ズルズルのくだりの三重苦も問題なくこなせました。

次に、今年のFUJIは大会期間全体をとおして気温が低めでした。
ただ、わたしは代謝がいいのか、発汗量も多く、着すぎるとすぐにオーバーヒートから汗冷えしてトラブルを起こします。
暑いよりは寒い方がよほどマシとはいえ、体温調整を雑にすると、先に進めなくなります。

暑くなれば手首に寄せればよく、寒くなれば腕を覆えばよいアームカバーはかなり有用でした。
ザックを下ろす必要も止まる必要もないので、細かく調整することが億劫になりません。


また、腹巻きはスタートから霜山を降りきるまでずっとつけっぱなし。お腹が冷えるのを防ぐため、日中も外しませんでした。
これのおかげでお腹が冷えて動きが鈍ることも、お腹を壊すなどの胃腸トラブルを起こすこともありませんでした。

最後のトレイルエマージェンシーベスト
実はこれ、レース2日前に突然購入したものです。
こういうのを「panic buy」と言うとか言わないとか。


ちょっと時間ができて寄った丸ノ内のノースフェイスで、店員さんが着ていたのが目に止まりました。
生地の裏にコーティングが施されていて、自分の体温の輻射熱で身体が冷えるのを防ぐというもの。要するに、エマージェンシーシートと同じ理屈です。
輻射熱で温めるので生地はペラペラでものすごく軽いのに、とてもあったかい。

「これ、必要なんじゃないか??」

ただ金で安心を買いたかっただけとも言いますが、この局面のパニック・バイは、自分の本能の、魂の叫びです。従いましょう。

実際、これが大当たりで、ウインドシェルを着ることはほとんどなく、時間帯を問わず、レースの大半でこのベストを着ていました。
結果として、アームカバーと軽量あったかベストの組み合わせがとてもハマったわけです。

【補給食について】

補給食についても、みなさんお考えがおありだと思いますし、個人差が大きいところですので、ここはさらっと。


今回のわたしは、「豆はでん六」のでん六豆などの豆菓子と、オイエナをカロリー摂取の基本として、要所要所でジェルを取るという方針でした。
ジェルだけに頼るとある時点から入らなくなることがわかっているためです。
また、そうなってからもなんとか取れるように、GUのリキッドタイプのジェルをメインに持ちました。

ところが、ベースのはずのデンロク豆が、F2麓に着く前にすでにもう入らない。

早々に補給計画は破綻しました。

ただ、ガッツギアはどんな状況でも必ず入ることがわかっています。
重いのでスタート時には背負ってませんが、こういう場合に備えて、保険としてサポーターに大量に渡してあったので、特に焦ることはありませんでした。

自分は何が入って何が入らないのか、夜中なら?長く動いたあとなら?暑いときは?寒いときは?
食べ物に関しては、そういうところまで、事前に把握しておくことをおすすめします。

【前日〜当日スタートまで】

さて、お待たせしました。
ようやく本題、レースの話に移りましょう。


といいつつ、まずは前日木曜日から。
わたしは、木曜日も会社を休んで、前日に富士近辺に入っています。

公式ツアーの宿ではなく、レイトチェックアウトが可能な宿を自分で手配して、金曜の朝11時まで宿で過ごし、睡眠時間の確保と、疲労の軽減をはかりました。

その後、富士山パーキングまで運転して、北麓公園まではシャトルバスで移動。
受付を済ませて、エキスポをのぞいて知り合いに挨拶します。狭い業界なので、何年かやっているうちにいつの間にか知り合いだらけ。


実は、ジェルのゴミを入れるためのゴミ入れを忘れてきたので買いたかったのですが、このエキスポはまさに各有名ブランドの「見本市」で、他のレースのように実用品はあまり手に入りません。

あえて言おう、佐藤スポーツカモン。

残念ながらゴミ入れはどのブースにもありませんでした。
忘れ物には気をつけてください。

シャトルバスで富士山パーキングに戻り、必要な荷物だけを持ってスタート地点のこどもの国行きのバスに乗り込みます。これが13時。
13時40分ころ、こどもの国に着きました。

スタート会場には、すでにたくさんの選手がいましたが、多くの人は芝生エリアで休んでいました。
あまり知られていないようですが、入場料800円を払って有料エリアに入ると、休憩所として使えるように体育館が開放されています。

有料だったからか、今年はガラガラでした。
体育館特有の底冷えはしますが、室内なので雨風はしのげるし、トイレの待ち時間はゼロ。すぐ横にちょっとした売店もあり、お菓子なども買えます。
ここまでに払った費用を考えれば、いまからスタートまでの3時間以上を800円で買うのは十分に合理的。
ぜひ利用を検討してみてください。


体育館でチートリの仲間のみっちーとああでもないこうでもないと身のない話を繰り広げ、16時ころ、スタート付近に移動。

さあ、いよいよです。

【スタート〜F1富士宮】

普段は作りませんが、サポートをお願いした手前、今回はタイムチャートを作成しました。

◆全部順調で42時間
◆渋滞回避+後半潰れで43時間
◆渋滞+後半潰れで44時間

事前の思いとしては、43時間では行きたいなというところ。

Wave1を見送って、そそくさとWave4のスタート列に並びます。
はい。早いです。


極力最前列に近いところからスタートし、速い人には抜かれるにしても、鉄塔区間でボトルネックになるランナーよりは絶対に前にいるという作戦です。
Wave3に入れなかったことから、これが次善の策でした。

思うに昨年の渋滞、出場資格が緩和された影響で、ナイトトレイルに慣れてない、まして滑るくだりで暗いのは怖いというランナーで詰まってしまったんだと思います。


去年は、富士宮に間に合わすため、渋滞を抜けてから6-7キロ、キロ6を切って走りました。
以降も関門に追いかけられて、終始かなり無理して走っています。

つまりは、どうせ走るなら、はじめから自分のペースで逃げてしまえと、そういうことです。
現代競馬において、逃げ馬は圧倒的に有利
はじめの17K頑張ればあとの150Kが楽になるなら、ここは逃げの一手でしょう。

というわけでヨーイドン!

心拍管理しつつ、ゾーン3に入らないギリギリで走り続けます。だいたい5:30-5:40。
あっという間にWave3に追いつきますが、ここは止まらずに17K行き切った方がいいと判断して、鉄塔区間まで爆走します。
たぶん、この時点ではWave4トップに近いところにいたはずです。


アホがいると思われている。
しかし、こちらは百も承知であえてアホをやっているのです。

問題の鉄塔区間、多少ペースが落ちるポイントはあるものの、渋滞というような渋滞はない。
やりました!!

これで序盤のミッションは完全にコンプリート。
あとは、抜かれようが何しようが、休み休み距離と時間を潰していけばいいだけです。
去年より1時間半、順調想定よりも30分早くF1富士宮にイン。


【F1富士宮〜F2麓】

水を追加して、さっさとエイドを出ます。
わたしは、比較的エイドの滞在は短い方です。今回はサポートしてもらったのでサポートエイドでは座りましたが、ソロのときには腰をおろして休むということはありません。
先に行きたくなくなっちゃうので。


しかしこの富士宮、痛恨のミスをかましました。
100miということでザックがパンパン、フラスクの出し入れがやや面倒で、片方は満タンにしたけれど、もう片方は補充しないで出てしまいました。たぶん残量3/5くらいだったかな。
これがあとあと地獄の苦しみに繋がることになります。

さて、富士宮を出るとみなさん大好き天子山塊ですね。
わたしは嫌いです。


林道のような、歩く動作でこなせる斜面は、フォーム改善で相当楽に登れるようになりましたが、いわゆる急登や、逆に激下りと言われるような斜面にはまだ対応できません。
ただただキツイ。

ご存知の方も多いでしょうが、天子がキツイというときに指している「天子」とは、天子ヶ岳ではなく、天子山塊という塊りの方です。
とりわけ、最後の熊森山がキツイ。

先に述べた通り、濃霧も出てきて足元がよく見えないし、爆走して疲れちゃったし、何しろ嫌いだし、本当に休み休み登りました。
ちょっと登ってはしゃがみ込み、ちょっと行っては木に寄りかかり。
この区間400人くらいに抜かれているようです。みんな、あのアホがいると思ったことでしょう。でも、それは当初の作戦どおりで問題ありません。


問題なのは、さっき想定以上に頑張ったせいか、今ごろとても喉が渇くということ。
熊森山に登り始める前に、水切れの気配が漂い始めました。
霧というかほとんど雨なのに、こちらは水がない。
しかも、水がないからでん六豆がパサついて喉を通らず、やむなくジェルを取っていたら、ジェルもあと一個しかない。
カロリーも取れない。

作戦上、ここはゆっくり行けばいいとはいえ、この区間、相当危なかったです。
正直に言えば、葉っぱの上に溜まった雨水をすすりました。


それはさておき、天子ヶ岳は記憶のとおりちょろいんですが、なかなか熊森山が始まらない。
なんだか登ったり降りたり、ギザギザギザギザ。こんなに長かったのか。彩の国を思い出します。しかも、ガスガスで前が見えない。

そしてようやく始まった熊森山、キツイはキツイけれども、どうも記憶ほどではない。暗いからかな?涼しいから?
なんにしても、脳内熊森よりはちょろい。

向こう側に、下っていくヘッドライトの列が見えて、ああそろそろ山頂なんだなとわかりました。
ん??ヘッドライトの列、富士登山のご来光待ちみたいになってます。
相当渋滞しているな。

熊森山のくだりは、それなりにズルズル。
ドロツネほどではないにせよ、気を抜くと滑ります。
ただ、霧で路面が見えにくくてみんなペースが上がらないので、あちこち身動き取れなくなって行列ができています。
イエローをハンドで持っているこちらとしては、さほど苦労することもなく、むしろゆっくり休めてラッキーでした。

この熊森のくだりをやっつけると、次は長いロードのくだり区間。
去年は足への負担を考えてほとんど歩いたけれど、今年は心拍管理しつつ「走り」ます。
でも、キロ7くらいで心拍170とかになるんですよ。
深夜だからかな?100miってそういうもの?

【F2麓〜F3精進湖】

麓エイドといえば、富士宮焼きそば。


去年は、たどり着いた時間が遅すぎて、すでに鉄板の火は落ち、冷たくアブラでベタっとした焼きそばしかいただけませんでしたが、今年は早く入っているため、アツアツできたての焼きそばをいただくことができました。

焼きそばを手に、サポートMKTのもとへ。

ここまで50K、10時間。
ようやく、MKTに会うことができました。あと、MKTをサポートしているタロー。

今回、最もやってはいけないのは、サポートエイドに辿り着けずにリタイヤすることでした。
100miを走るつもりなら50Kなんて序盤もいいとこですが、一般通常人からすれば、50Kはフルマラソンの先。ゴールの向こう側ですよ。

しかも不整地を50K走るなんて、普通の感覚では、もう何があってもおかしくないわけです。

わたし、一般通常人につき、ここより手前でのリタイヤをめちゃくちゃ警戒しました。

ただ、幸いにして、サポーターのもとにたどり着くことができました。
知った顔が待っててくれるってのは、力になるものです。

天子でサボりながらメールでお願いしていた炭酸水をグビグビ飲みます。
水もカロリーも、ほんとにギリギリだった。


水と補給食を入れ替えて、いざ出発。


去年の自分、天子がかなり遅かったらしく、天子区間をあんなにサボったのに、タイムチャート上はまだ余裕ありです。ありがとう自分。
まだ夜明け前。

登りに入る前に、富士山が綺麗に見えました。

今年からこの区間は竜ヶ岳ではなく、本栖湖をぐるっとまわるルートに変更されています。
大きな登りが2回あるらしいですが、竜ヶ岳よりは楽なことでしょう。


と思ったら、キツイ。これは明らかに竜ヶ岳よりキツイ。
一度登って、それを完全に降り切ってから、もう一本。

しかも、夜が明けてきて眠い。
わたしは、真っ暗なうちは眠気はきません。危ないから集中してるんでしょう。
逆に、陽がのぼり切ってあったかくなると、眠気は飛びます。
でも、明け方の薄く陽が出てきた時間帯は耐えられない。少しホッとするのかもしれませんね。


というわけで、寝ます。

登りの途中、下がフカフカしていて、いい感じにもたれることのできる木があって、風を避けられる地形を見つけて、おやすみなさい。
15分寝ようかと思ったけれども、そこまでじゃないかなと、タイマーを7分にセット。

おはようございます。
5分くらいは寝れたでしょう。


身体の疲れはとれませんが、これで頭はスッキリします。脳を再起動したというとイメージ伝わるでしょうか。


寝たので快調ですが、やはりこの区間はキツイ。去年の竜ヶ岳を参考に設定した区間タイムには間に合いそうもありません。
全部順調のタイムチャートからは遅れてしまいそうです。
それでも、最悪想定と比べれば2時間近い貯金があります。


まだ焦るような時間じゃない。

【F3精進湖〜F4富士急】

精進湖エイドでは、おかゆが配られていました。
MKTが買っておいてくれた稲荷寿司とともに、モグモグ食べます。あと炭酸水。

どうやら、今日はいくらでも入るらしい。

ついでにガッツギアもキュッとやって、お腹パンパンにして出発します。
エイドでおなか一杯食べると、道中補給食いらないんですね。勉強になります。

次にMKTと会えるのは忍野。
だいぶ先です。

それはそうと、この辺で、タイムチャートに違和感を覚え始めました。
ここから富士急、そして富士急から忍野まで、時間がかかりすぎの計画になっているように思えます。
ただ、それをいま気にしても仕方がない。先へ進めばわかるでしょう。

精進湖から富士急は、ロードの印象が非常に強い区間です。この微妙なのぼりのロード、ダラダラ歩いているランナーがほとんど。

でも、こここそがタイムの詰めどころなんですね。

とはいえ、全部走るっていうのは無理なので、キビキビ歩きとジョグを交互に入れます。


かの石川弘樹氏が言っていました。
全歩きはダメだ、50歩あるいて50歩走る、30歩あるいて30歩走る、これでぜんぜん違う、と。

わたしの場合、この歩数はあまり厳密には決めてません。
やってみるとわかりますが、5歩ずつ10歩ずつみたいな小刻みな入れ替えはかえってつらい。走動作に入る動きとそれを止める動きが無駄になるからだと思います。

また、完全に30歩に固定というのも、その瞬間瞬間の気分にそぐわず、つらくなります。長く走れるなら、長めの方が楽なこともあるんです。

なので、斜度に応じて、30歩から100歩くらいまででぐるぐると回しました。

ここを少し走ると、ソフトクリームが買える売店があるのですが。
タローがソフトクリーム食ってます。ペロリ。

先回りして待っていてくれたようです。
MKTとタロー、それになぜかレオレオもいます。
本当にありがたい。

わたしも去年はここでソフトクリームを食べましたが、今年は余裕があるので、タローに悪態をついて先に進みます。
自販機もあるので、疲れ具合や暑さに応じてうまく使うといいと思います。

この区間、さっきも言ったようにロードの印象がとても強いんですが、ちゃんと山があります。しかも、結構いやらしい。
行けども行けども終わらないタイプです。

去年、この区間では北麓(去年は富士急に相当する北麓エイドでドロップ受け取りでした)でドロップを受け取れるか、受け取れずにリタイヤかという結構痺れる戦いを繰り広げていたんですが。

途中、あまりに山が長いもので、15分くらいフテ寝しています。

山があったことも、フテ寝したこともすっかり忘れていましたが、ともあれ、やはり長い。

そして、だんだんとくだりで踏ん張りが効かなくなり始めてきました。
激下りみたいなところも、つづら折れみたいなところも、まわりのスピードについていくのがつらい。
でも、登りと平地はまだ行けます。

なんとか山をくだりきってしばらく進むと、ずいぶんとデカいザックを背負った女性が。
なんだか見覚えがあるぞ。
近づくと、チートリのさのもえちゃんでした。
たしか二十曲でボラでは?と尋ねると、ボラの前に山を登っていて、イブキを見たら近くにいたから待っていてくれたとのこと。
ちょこっと並走してくれました、わざわざありがとうね。

さのもえからも元気をもらって、富士急にイン、ここがおよそ100K地点です。

ソフトクリームを食べず(10分短縮)、フテ寝をしなかった(15分短縮)こともあり、スケジュールを大きく巻き返しました。

【F4富士急〜F5忍野】

今年の富士急エイドは、サポートエイドではありませんが、誰でも中に入れる「応援エイド」ということになっていました。
さっきの精進湖でお腹いっぱい食べたので、オレンジだけいただいて、水を補充します。
今度は、ちゃんと2本とも。


とかやっていると、MKTとタローが応援エリアに駆け込んできました。走ってきたそうです。

サポートの合間って、サポーターは暇になるタイミングがあるんですよ。
普通は寝るんですけどね、2人はランニングしているそうです。この時点で20Kくらい走ってました。元気だなあ。

ここで、2人に気になっていたことを聞いてみます。
なんだか、キロ7くらいでジョグすると、すぐ心拍170とかになるんだけど、100miってそういうものですか?
「いやいや、それはちゃんと心拍取れてない。気にせず体感で行って大丈夫」とのこと。


ここまで、心拍管理をわりと徹底していて、147以上になると、体感的にどんなに楽でも歩きに切り替えるようにして進んできましたが。

なんだ、やっぱりそうか。

ただ、そのおかげでかなり抑える形で進めていて、まだだいぶ余裕がある。

次は、因縁のタクシー乗り場、忍野。

去年は、北麓から先は、関門ファイトの疲れでほとんど走れず、トボトボと歩きました。
今年はきちんと走れます。キビキビ歩きとジョグを混ぜて進みましょう。

富士山パーキングそばの自販機で、カルピスソーダオレンジ味(自販機限定)を見つけて購入。一気にあおります。
ちょっと水分が足りない気がしていたのでちょうどよかった。

FUJIは途中にある自販機、コンビニは使い放題です。うまく使いましょう。
ちなみに、自販機は釣り銭切れになっていることがあるので、お釣りなしで買えるように10円玉や50円玉を持っていってくださいね。

忍野までは、ちょっとした里山2つを越えるだけのはず。


しばらく林道を行くと1つ目の里山に到着。
あらら、入り口で大渋滞しています。
どうもKAIの最後尾に追いついたみたいです。
KAIはここが初めてのトレイルで、みんなかなりフレッシュ。

ただ、周囲から、これ杓子の渋滞ヤバいんじゃ?なんて話が聞こえてきます。
数年前、FUJIのボリュームゾーンとKAIのボリュームゾーンが杓子でぶつかって、深夜極寒の稜線で2時間以上詰まるということがありました。
すわ、その再来か?!となったわけです。

2時間失うとさすがにちょっと危ないなあと思いつつも、杓子で待たされるくらいなら、忍野でゆっくりして、その間にKAIのランナーにはずんずん進んでもらおうか、などと計画を微修正しつつ、ゆっくりゆっくり里山を登ります。

これくらいゆっくりでいいんですよ、本来、山登りなんてのは。

ひとつ目の里山を降りると、またレオレオがいます。忍者か。ありがたいけども。
応援を受けて、次の里山に向かいます。

ここはエヴァンゲリオンの丘(行けばわかる)があるところです。
エグい急坂を登らされながら、去年はここでもうやめること決めてたなあ、このピークで後泊の宿のキャンセルの連絡入れたなあなどと少々感傷に浸りつつ、忍野に向かってくだります。

あ、左の踵が裂けた。

わたし、冬になると乾燥して踵があかぎれのように裂けてしまうことがあるんですが、それに非常に近い痛みが出ています。
でもまあね、これだけ走れば踵くらいは裂けますよ。
ワセリン塗っておけばいいでしょう。


ということで、MKTにワセリンを買って欲しいと連絡。
こういう突発的なトラブルにも対応してもらえるので、サポーターは本当につけた方がいいですよ。

さて、ついに因縁の忍野。

今年は走ってインします。

入り口で誘導員をしていたのは、何ヶ月もフォーム改善に付き合ってくれたTJAR戦士で理学療法士の中野さん。

ありがとう、来ましたよ。

【F5忍野〜F6きらら】

さあ、ここから先は未知の領域。

MKTから、上はあったかくしておいたほうがいいとアドバイスを受け、オクタだかなんだかのモフモフしたやつを着込みます。


ワセリンを塗ろうと靴下を脱いでみると、踵が裂けてるのではなく、マメでした。しかもかなりデカい。

さてどうしようか?と、これもMKTに相談。

「潰さない方がいいけど、潰れそうだよねえ。救護スタッフに処置してもらえるんじゃない?」とのこと。

自分ひとりでは、救護スタッフに相談するという発想は絶対に出ない。こういうのもありがたい。
救護スタッフさんにお願いすると、しっかり処置していただけました。大変助かりました、どうもありがとうございました。
処置してもらっている間、救護ベッドの上で一瞬寝ました。

ここから先は暗くなり二晩目に突入です。
少し判断力が鈍り始めている自覚があります。
幸い時間に余裕があるので、ちょっと寝ることにしました。仮眠所に行ってタイマーを10分セット。5分くらいは寝れました。

また、脳を再起動です。

あまり長居をしていたつもりもないんですが、忍野には1時間13分もいたようです。
その分、しっかりと休みました。

ここで、全部順調想定のタイムチャートに追いつかれてオンスケになりました。
これでも、制限時間に対して3時間弱の余裕がある計算です。まだ大丈夫。

中野さんに手を振って、忍野をアウトします。
忍野からきららは、距離もルートも大したことないと聞いています。

田んぼの間のロードを走って、途中にまたレオレオがいて、それからどうしたんだっけ?なんか木段あったな?という感じで、はい、もうきらら。

いろんな人の動画で見た湖沿いの道をいま自分も走っています。まだ走れてる。

【F6きらら〜F7二十曲】

ここが、最終のサポートエイドです。
つまり、ここを出たら、次にMKTとタローに会うのはゴールということ。
ここまで本当にありがとう、助かった。
必ずゴールまで行くからねと伝えて、出発。


ここからは標高が上がるので、ロングパンツに履き替えました。

通常のきららから二十曲までのルートはギザギザしていて、みんなが口を揃えて、ぜんぜん進まない、めちゃくちゃキツイと言う難所です。

それが、一部崩落により、石割山経由にコース変更。
地図を見る限り、かなりロード走ってるんだよなあ、楽なんかなと思いながら、パノラマ台へ向かいます。

ここで、誘導のボラの方から声がかかりました。

ゴールまで残り48K!!

時計を見ると、残り時間はおよそ17時間

んん?
残り48Kで17時間って、どんだけ累積があったとしても、そんなにかかるわけないんじゃないか??


きららを出たところで、完走がチラつきました。

そして、あれ、え、待って。
パノラマ台向かうの??ないのかと思ったのに。
あそこ、人間が登っていい斜度じゃないんじゃないかなあ。なんで直登かなあ。
でも、まだ登るのは登れます。


むしろ、上げた分の標高を全部下げるのがもうキツイ。具体的にどこがというのはないものの、完全にくだりの脚が終わった状態です。

くだり切ってからのロードもだいぶキツイ。
しばらくジョグを入れるのを忘れて、ただただ歩いてしまっていました。

でも、やっぱりこういうところがタイムの縮めどころ

疲れているだけなので、ジョグを再開。
むしろ、早く登りになってくれという心境です。


そしてたどり着いた石割山。

道が狭くて見通しがきかず、ガシガシ上がっていく感じで、印象としては竜ヶ岳の登りに近い。
それでも、現時点では、くだりやロードよりはこの登りのがだいぶ楽です。
そして、これをやつけてしまえば、ついに二十曲エイドです。

実は、二十曲エイドはトリッパーズが運営に携わっているエイド。
なので、ボラをしている人は友達ばかり。

若干卑怯な気もしますが、MKTはいないけれど、わたしにとっては二十曲も完全にサポートエイドなんです。
去年はたどり着けなかったけど、今年はここまでやってきました。

エイドの200m手前、マコトさんが誘導してます。エイド入り口、よしおちゃんとアサシンが見える。エイドに入ると店長や他のみんなが集まってくれる。

思わず、ここをゴールとしたい!と言ったよね。

テントの中に入ってからも、みんなが声をかけてくれる。体調や調子を気にかけてくれる。

到着した時間もそうだし、見た感じまだ余裕があったんでしょう。だいぶ気が早いけど、完走おめでとうなんて言葉もかけられる。
どうもどうも、ありがとう。

まるで、立川のトリッパーズのお店にいるみたいなホーム感。ありがたいなぁ。
でも、居心地がよすぎてエイドから出られなくなるから、みんなに挨拶して、さっさと出ましょう。

この続きは、明日ゴールで。

【F7二十曲〜F8富士吉田】

残るは杓子と霜山、距離にして28K。
そして、いまは0時30分。残り時間は14時間。
怪我さえしなければ、ここから全部トボトボ歩きでも、もう間に合うだろう。


だけども、これは勝手卒業試験。


それに、MKTとタロー、レオレオやさのもえ、二十曲のみんなが一生懸命サポート、応援してくれた。
だから、こちらも全部出し切って終わりたい。


というわけで、ペースを緩めず杓子を登ります。

もともと、杓子を苦手とかキツイとか思ったことはなくて、むしろ岩を登れば累積標高を消化できるなんて、楽でいいじゃないと思ってます。

それほど高度感があるわけでもないし、難所もない。
ここを苦手にしている人は、単なる慣れの問題だと思うので、場数さえ踏めば、この区間は自然に得意パートになると思います。

問題は、やはりくだりの方で。
雨でズルズル。霧で路面が見えにくい。
しかも、周囲にイエローライトを持っている人がおらず、足痛いのに、自分が一番安全に早くおりられるっぽい。痛いのに。


仕方ない行くかと、集団の先頭を買ってでます。
まわりに迷惑がかからないように頑張ってスピードを出してるとはいえ、止まる、足場を探す、くだるを完全に自分でコントロールできるので、思ったより悪くない。

林道まで引いて、お役ご免に。
もうそのペースでは走れない。みなさん頑張って。

富士吉田まで、あと数キロか?
林道がものすごく長く感じました。ここも、キビキビ歩きとジョグの組み合わせで進みます。
ただ、いまのくだりでちょっと調子に乗りすぎたらしく、下向きの角度がついた道は、もうそれだけでつらい。

ようやく、富士吉田。
最終エイドに到着しました。
時刻は朝の4時。

【F8富士吉田〜ゴール】

富士吉田エイドといえば、もちろん吉田うどん。


天かすとおネギを入れ放題だったので、普段の感じでもりもり入れてしまいましたが、我慢した方がいい。特に天かす、ちょっと気持ち悪くなりました。
自分がエイドに入ったタイミングで、ちょうどおうどんおかわり自由になったので、ありがたくいただきます。
2杯目は、天かすもおネギもなしで。


30分弱滞在して、最終エイドを後にします。
そしてこれが大会通して一番の判断ミス。


富士吉田を出たのが4時半ころ。薄く明け始めています。
エイドに仮眠所があったので、そこで5分寝ておくべきでした。

霜山の登山口まで、おそらくロード4Kないくらい。ですが、眠くて眠くて仕方がない。この4Kに1時間かかりました。

どこかで寝たい。

あの空き地はどうだ?学校は?墓地は?
どこで寝ても大会に迷惑をかける可能性があるので、他人の敷地内はダメだという理性は保てているものの、どうしてもフラフラ蛇行してしまいます。


キビキビ歩くとかジョグとか、もはやそういう状況ではない。

霜山入り口のゲートをくぐり、数メートル上がったところで、即寝ます。ふかふかだろうが、とげとげだろうが関係ない。
ここも5分のタイマーで。

また脳を再起動して、スッキリ爽快。

これが最後の睡眠です。
トータル22分のタイマーで、実際に寝た時間は15分弱くらいでしょうか。
自分の眠気の出方と潰し方を把握しておけば、これくらいでも意外となんとかなるものです。

思いっきりタイミングを外しておいてなんなんですが。

最後の登り、霜山行ってみましょうか。

はい、もうだめだ。登りの足も終わっています。霜山はそれほどきついという認識はなかったのですが、これは厳しい。いままであまり見ていなかった時計の標高、思わず数字が減っていくのを確認してしまいます。ぜんぜん減らない。300mとか、200mとかが果てしなく感じました。

しかも、霜山登り切ったら山頂じゃないんですね。なにやら霜山分岐という、ぜんぜん達成感のないただの道。

いまのペース、残り距離、コンディション。

ギリギリ30時間台に滑り込める気がします。残りの10Kくらい、ちゃんと動ければですが。

せっかくの卒業試験。あなたの生徒はなんと、ただ完走しただけでなく、30時間台でゴールしたんだよ、と言ってあげたくなってきました。

しかし、くだりはヨチヨチに近い。登りもトボトボに近い。

行けるだろうか。いや、行こう。

たぶんこれが最後の100マイル。この期に及んで余力を残しても仕方がない。膝がどうとか、ふくらはぎがどうとか、そういうのは何時間後かに考えよう。

できる限りのスピードを出して霜山のくだりを進みます。ずんずん抜かれるけれど、これがいまの精一杯。

いやね、この霜山のくだり長くない?くだりきってからのロード7Kって、完全に蛇足だよね?

しかし、自分で進まねば距離は縮まらないのです。

もうこのロードを走っている人はほとんどいません。けれど、こちらは30時間台がかかっている。根性のキロ7。

最後の林道に入りました。残りは4Kくらいだろうか。よく見る残り2K、1Kの標識が待ち遠しい。1Kが長い。進まない。

長かった100マイルもようやくおしまい。終わってみれば短かった、なんてことはありませんよ。べらぼうに長かった。これは、身体にわるい。ただ、どうやらわたしも100マイラーです。

ゴール前、みんなが待ってくれています。

最後だしね、格好をつけて走ろうか。

そうして、無事にゴール。

100マイルのゴールは、泣くのかなと思ってみたりもしていたけれど、特に泣くこともなく。フルマラソンを完走すると世界が変わるかな、なんて思っていたのと同じで、100マイルを完走しても特に何も変わりはない。

100マイラーと100マイルに届かない人の差って、ほんの紙一重なんだと思います。たまたまその線を跨げたかどうかだけ。だから、いままでと何も変わらない。

ちょっと、格好いい写真は撮ってもらえるけれど。

ここで100マイル体験記をしめましょう。

長々と書いてきましたが、このようにFUJI100miは、戦略次第でゆるふわハイカーでも攻略できるんです。少なくとも完走を左右するのは走力や練習量だけではありません。自分に対する解像度を高め、手持ちのカードをどう切るか、それを考えてみてください。

次に挑戦するあなたになにがしかの気づきを与えられていれば、とてもうれしく思います。

超長文にお付き合いいただき、どうもありがとうございました。

プロフィール

Team Trippers
Team Trippers
Trippersのトレイルランニングチーム。
走力を上げる事を目指すのではなく、月に一回みんなで山を楽しむというスタンスで活動しています。