レースでなくとも遊びに行きたい!みちのく潮風トレイル SEA ALPS TRAIL JOURNEY 2024《レオナルド》
旅が好き。自然の中を歩いたり走ったりするのが好き。そして、美味しいものが好き。その土地ならではのローカルグルメに出会って、それがめちゃ美味しかったときは最高に幸せ。トレイルランナーにはそういう人結構いるのではと思います。
2024年11月上旬の岩手で開催されたSEA ALPS TRAIL JOURNEYはそんなわれわれの「好き」が満たされた、しあわせでたのしい旅でした。「ちょっと岩手は遠いかな...。」と迷っていたたり、初めてこのレースのことを知った、といった人たちへの参考となるよう今回参加したレースや岩手での旅の魅力をお届けしてみます。
旅のメンバー紹介
今回はTeam Trippers (チートリ)からの有志7名+1名の旅。チートリ・ナビゲーターのMKT、たろーさん、この2人からの呼びかけに、つーじー、よしおちゃん、いくさん、あけみさん、わたしが手を上げ参加を決定。本来であれば、マッケンジーとトーコプロも参加予定だったが残念ながら叶わなかった。さらに、すけさんも協賛スポンサー・出展 MERRELLの人としてレースに参加。後にすけさんが思わぬ形で大会を盛り上げてくれることになる。
旅の概要
旅の舞台は岩手県沿岸北部下閉伊郡普代村・田野畑村・岩泉町。2013年のNHK朝ドラ「あまちゃん」のロケも一部このあたりの地域で行われていたとか。コースは普代村・普代浜キラウミをスタートし、「みちのく潮風トレイル」に沿って田野畑村を抜け、ゴール地点の岩泉町・浜の駅おもと愛土館を目指す。距離49km、累積標高は2098m (大会公式記録証より)
レースは2024年11月3日(日) 午前5時半スタート。受付は前日(11月2日)もしくは当日早朝どちらでもOK。レース当日夜はゴールのある岩泉町内の龍泉洞温泉ホテル(ゴール地点から車で30分くらい)にてアフターパーティーが開催される。加えて、ゴール会場おもと愛土館では「おもと鮭まつり」が開催。鮭をたらふく食べれるような名前のお祭りだ。
我らチートリ軍団は、東北新幹線で盛岡まで行き、盛岡からはレンタカーでレースが開催される沿岸部まで移動。流れとしてはレース前日 お昼前に盛岡駅に集合し、レンタカーでスタート会場まで移動してゴールあるいはスタート近辺の宿へ前泊、レース当日はアフターパーティー付き宿泊プランにてゴール付近のホテルに後泊。レース翌日は観光をして盛岡から新幹線で帰るという2泊3日の旅である。
DAY1 (11月2日 レース前日 )
盛岡駅にてメンバー集合後、レンタカーにて受付会場 普代浜園地キラウミへ向けて出発。盛岡から宮古へ向かう道は高速道路(無料)と一般道が入り混じっている。週末にもかかわらず渋滞はほぼなく、スムーズに受付会場(スタート地点)の普代浜キラウミに到着。MERRELのすけさんにもようやく会うことができた。
尚、MERRELではシューズを試し履き(レンタル)を提供していた。50kmのレース本番でシューズを試すことが出来るとは、なかなか太っ腹なよきサービス。
受付会場では協賛メーカーの出展のほか、地元グルメが味わえるキッチンカーや屋台なども。私はその中で、ちょっと値が張るなぁとも思いつつ、「松茸ごはんおにぎり」(500円)を頂いてみた。三陸地方は松茸の名産地らしい。このおにぎりは普通のものよりサイズがかなり大きい。食べてみると予想よりも松茸がたっぷり入っていた!なんという贅沢な香りと食感。これ本当に500円でよいのか!?数年ぶりの松茸を堪能できて大満足。
受付を完了したのは15時ちょっと前。少し遅めだがみんなで昼ご飯を食べに行くことに。営業中のお店が少ない時間帯だったが、運良くあいていた普代駅近くの「みつよし食堂」へ。メンバーそれぞれ定食、カツ丼、ラーメンなどの料理を堪能、ボリューム満点で美味しかった!その後コンビニ経由で宿泊先に戻り、起床は3時前くらいと早めなので翌朝のレースに備えた。
残念ながら、たろーさんはDNS。1ヶ月前のハセツネで左手を骨折したばかりであった。トレイルでの思わぬ転倒...などのリスクは避けるべくレースへの出走は見合わせた。車の運転はできるとのことで、スタートから選手とともにゴールへ向けて車を走らせ、各エイドで応援してくれることとなった。
DAY2 (11月3日 レース当日 )
宿を出たのは3:30。宿の駐車場は真っ暗で見上げるとものすごい数の星が見えた。スタート会場・普代浜キラウミへ到着した4:30過ぎくらいになってようやくうっすらと夜が明け始めたものの、まだ空気は冷たく気温は一桁台。シェルやロングパンツを着ていても車の中にいないと寒い。
夜が明けてくるにつれて、ワクワク感が止まらない。これから道行く先には楽しみなものだらけだ。海沿いの絶景についてはいうまでもないが、ライトが必要な手彫りトンネルや、はしごを使って上り下りする岩場など、大会運営チームが事前にSNSで紹介してくれた見どころポイントをすべて自ら体験することができるのだ。中でも気になったのは激下り&激上り階段。300段下りて400段上るって、きつい?それとも楽勝なのか?そして、ゴールでは「鮭まつり」が待っている!
そしていよいよスタート時刻5:30を迎え、ランナーが一斉に走り出す。旅が始まった!
最初は海沿いのロード。海側、東側の空がゆっくりと明るくなっていく。レースの出だしから、もうすでに絶景で立ち止まって写真撮るひともちらほらいた。
スタート直後の興奮もあり、ペース速めであっという間にロード区間も終わった。続いては磯沿いのネダリ浜自然歩道へ。
ネダリ浜自然歩道は舗装されているが幅はそれほど広くない。だがこのレース出走者数は163人とそれほど多くない人数ということと、私がいた後方集団はのんびりしていたということもあり、渋滞したりなんてことはまったくない。素晴らしい景色を眺めながら、ゆったりと進むことができた。
コースはいよいよトレイル区間へ。最初の急登を上りきってしまった後は斜度が緩やか。まだまだ元気な序盤だし、50kmだしついつい走って上ってしまう。トレイルは広葉樹などが多く生い茂り、秋の落ち葉の香りがする。上りきった先は緩やかなアップダウンとが連続するトレイル。登りきったり、カーブを曲がったりするたびに海を見ることができる。
国民宿舎 くろさき荘の北緯40度シンボル塔のあたりでちょうど日の出を迎え、気温も少しずつ温まってきた。
ずっとこのトレイルを走っていたいなぁ、などと思いながら進み行くとやがてA1 北山崎へ到着。A1エイドに入るタイミングで、先行するアケミさん、よしおちゃん、そして応援で来ていたスケさんとすれ違い、お互いに声を掛け合う。前後するランナーさんたちとも「ナイスラン!」などと励ましながらエイドに到着。エイドはドリンク、食べ物などいろいろな種類のものを提供していただいた。個人的には豆乳が大ヒット。この後のエイドでもおかわりした。おにぎりはおそらく手作りらしく、ちょうどよいサイズ。みそ汁と一緒に食べると食べやすく、激ウマだった。エイドでもっと休んでいたい〜といつものビョーキが発動したのだが、この先の絶景を求めて先へ進むことにした。
北山崎展望台を過ぎたところで、300段の激下り階段が始まる。
途中で見える海はきれいなのだが、転倒や踏み外しに気をつけなければならないのでゆっくりと景色を楽しむ余裕があまり無かった。長い下りをようやく終えると約400段の激上り階段が始まる。この階段手すりがところどころ壊れているし、段差も通常の階段よりも大きなところもあってなかなか進まない。脚はあっという間に疲労が溜まり、攣りそうになるし、呼吸は上がるし...。今までの「お気楽観光トレラン」気分をぶっ飛ばしてくれるタフな階段であった。
20段上って5呼吸休むというインターバルでなんとか上りきった。10月の間リカバリと称してロクに走っていなかった私はこの時点でノックアウト、脚が売り切れた。練習不足は裏切らない。
上りきってからはしばらくなだらかなトレイル。
そして、トレイルを下りきった先は再び海岸。
砂浜や岩がごろごろ転がる浜辺を進む。どの岩・石を踏めば安定して進めるのか、コース選択のセンスが問われる。私はセンスないので、ノロノロ・オロオロと進む。
この海岸ではハシゴを使っておりる岩場もあるし、手彫りのトンネルもある。冒険感ハンパなく楽しい。コースはやがて海沿いのアップダウンのあるトレイルへ。
トレイルを登った先の海や風景が綺麗でついつい立ち止まって写真を撮ってしまう。でもずっと眺めていたい気持ちを抑える。トレイルを抜けてやがてコースは海沿いのロード区間へ。相変わらず脚は売り切れていて、攣りそうな状態が続く。塩タブレットを時折口にいれながらロードを走りリカバリを試みる。スピードはもう出せないけれども、走り続けることができそうな感じである。脚も身体も疲れ、重さが気になり始めたタイミングで、ようやくA2ひらいが水門に到着。助かった。
登り終えると鵜の巣断崖展望台へ。鵜の巣断崖駐車場にA3エイドがあるのだけれど、エイドへ行く前に一度反対方向にある展望台へ回らなければならない。
この景色を見ると、コースに展望台を入れた主催者さんの気持ちがよく分かる。普代村から来た今までの道を振り返ることができるのだ。展望台でもぼおっと海を眺めていたかったが、ひとまずはエイドへ。
A3エイドもスタッフさんたちが和気あいあいとしたなごやかな雰囲気だった。居心地がよくて、またうっかり長居しそうになってしまう。だが、のんびりしているとゴール会場での「おもと鮭まつり」が終わってしまう!給水して豆乳を2杯飲んで自分としてはわりと短時間で出発した。A3を出るといよいよ旅も終盤という感じ。
A3からゴールまでは海が見えないトレイル。レース後にチームの皆と話をした際に、「このA3以降のコース、無くてもいいんじゃない?」といった声も聞いた。けれども、個人的には住宅街や牧場を抜けるロード区間も、地味なトレイルも味わい深くて、これはこれで良かったんじゃないかなと思う。
御殿崎自然休養林を抜けて上野牧場のあるロード区間の終わりで誘導スタッフの方が「最後のトレイルでーす」と案内してくれた。それを聞いて、もうこの旅が終わっちゃうのか、としんみりしてしまった。とはいえ、「鮭まつり」にも辿り着かねばということで先を急ぐ。ここでトレイルの途中のゴールまであと数kmくらいの地点で軽快にこちらへ向かってくる人が登場。幻覚?ハイカーさん?地元のトレイルランナーさん?
近づいてくる人物は、なんとゴール後に逆走応援をしていた若岡さんだった。なんてさわやかなのでしょう。軽くごあいさつした後に、若岡さんは颯爽と駆け抜けていった。トレイルもいよいよ残りわずかに。
最後のトレイル区間、ラスボス的な小高い山があったが、それもあっさり終わってしまいロード区間へ。小本川水門が見えた。ゴールの手前の橋を渡りきると、MKT&たろーさんが出迎えてくれて、そのままゴールへ。
速く走れなかったし、順位もまるでぱっとしなかったれども、自信を持って言えるのは、間違いなく、このレースを最後まで楽しみ尽くすことができた!運営・スタッフの皆さん、ありがとうございました!
ゴール後は着替えを済ませ、さあいざ、おもと鮭まつりへ!
と思ったら鮭まつりはもう閉会の準備を始めていた。祭りのエンディングを飾る「餅まき」が多いに盛り上がっていたものの、すでに鮭や鮭関連の屋台や食品などは姿かたち見当たらず。鮭らしいものを食すことが出来ぬまま私の鮭まつりは終わってしまった。尚、チートリ軍団の中で一番速くゴールへたどりついたいくさんでも「鮭汁」(先着200名、無料)にはありつけなかったらしい。鮭にありつくためには、それなりの走力が必要だったのだ。
「おもと鮭まつり」が終わると、まつりでの舞台をそのまま使って、SEA ALPS TRAIL JOURNEYの表彰式が始まった。
男子優勝は若岡さん、 女子優勝はゲストランナーの山内菜摘さん(なっちゃん)、そしてなんと、我らがチートリ軍団 あけみさんが6位入賞!さすが過ぎる!
表彰式の後はなっちゃん選手とじゃんけん大会。各協賛メーカーの豪華景品をめぐって大人たちが本気のじゃんけん。
各協賛メーカーの全ての景品が出尽くしてじゃんけん大会も終了...と思ったところで、なんとすけさん登場。なんと特別に「お好きなMERRELLシューズ」を景品としてじゃんけん大会へ提供。じゃんけん大会のボルテージもここでMAXとなった。
そしてその苛烈なじゃんけん大会を制したのはこの男!チートリ軍団つーじー!
アフターパーティが始まると、岩泉町名産の「のむヨーグルト」で乾杯。海鮮料理・郷土料理を楽しみつつ、レースや旅の話を語り合った。
アフターパーティ終盤は再びじゃんけん大会。相変わらず、大人たちは全力を出してじゃんけん大会に本気で挑み、大いに盛り上がった。
パーティーの最後はなっちゃん、若岡さん、中谷亮太さん、Run-Walk Styleのサチコさんがレースを振り返ってのスピーチ。このSEA ALPS TRAIL JOURNEYは、自信を持って友人やラン仲間さんたちにオススメしたい、そしてまた自分自身も参加したい、といった感想や思いが皆さんの言葉に共通していた。最後は櫻田和志さんの一本締めでお開きに。
いろんな場所からやってきたトレイルランナー達が好きなこと、好きな人たちとわいわいと楽しむことができた楽しいアフターパーティだった。
DAY3 (11月4日 レース翌日)
レース翌日はグルメと観光Day。当初の予定では、盛岡へ戻りわんこそばを食べるはずであった。何と言っても、「わんこそば」は、「戸隠そば」、「出雲そば」と並んで日本三大そばのうちのひとつ。しかし、わんこそば経験者のMKTの話を聞くと、どうやら「味」を求めるものではなく、どちらかというと「量を求める競技のようなもの」らしい。メンバーみんな路線変更に同意し、のんびり宿の近くにある龍泉洞、宮古を観光して夕方に盛岡へ戻ることにした。
まずは、龍泉洞。日本三大鍾乳洞のうちの一つだそうな。(ほかは、山口県の秋芳洞、高知県の龍河洞) 宿泊先「龍泉洞温泉ホテル」からはは徒歩圏内。その名の通り、水量が豊かな洞窟。透き通った地底湖が美しい。
龍泉洞を堪能した後は、一路宮古へ。最初に立ち寄ったのは「宮古市魚菜市場」魚介類を扱うお店だけでなく、八百屋、和洋菓子屋や、生産者さん達が畳を敷いてその上に野菜やお菓子を並べるようなフリーマーケットのようなスペースもあった。
ここでのお目当ては「丼の店 おいかわ」一番人気は宮古海鮮丼で、チートリメンバーたちのほとんどが海鮮丼をチョイス。一方、私はレース当日の「鮭まつり」で、鮭を全く食べることが出来なかった悔しさから「サーモン・イクラ丼」をチョイス。絶品でした!
市場でお腹を満たした後は、遊覧船ツアーへ。道の駅みやこ(シートピアなあど)へ車を駐めて、出崎ふ頭へ。この遊覧船では、うみねこのエサ(パン)を販売しており、出港とともにうみねこ達が一斉にエサをめがけて飛んでくる。
レース当日に走った海沿いのトレイルとは異なる場所だけど、海から見る陸の風景もなかなか眺めがよかった。こんな感じで、思う存分遊び尽くして盛岡経由で帰路へ。
3日間、いろいろとナビをしてくれたMKTとたろーさん、そしてご一緒した、つーじー、よしおちゃん、いくさん、あけみさん、本当にありがとう!
Beyond the Journey’s End
東京へ戻り、旅が終わってもいろんな形で岩手の余韻に浸り続けることができた。というのも、参加したランナーさんがそれぞれの旅の思い出をSNSで投稿したり、大会公式ページへカメラマン飛田克智さん、山口玄人さん、大会スタッフさん達が次々と大会公式ホームページの「ギャラリー」コーナーへ写真をアップした写真を見ることができたので、レース中やアフターパーティーでのいろんな人や出来事を思い出すことができたのです。(こちらのブログでもいくつか写真を利用させて頂いております。ありがとうございました。)
SEA ALPS TRAIL JOURNEY、これから50kmくらいのミドルレースへの挑戦を考えている人、海沿いのトレイルを走ってみたい人、岩手の美味しいものを食べ尽くしたい人、いろんな人に自信を持ってオススメのレースです。
プロフィール
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Trippersのトレイルランニングチーム。
走力を上げる事を目指すのではなく、月に一回みんなで山を楽しむというスタンスで活動しています。