UTMF2022 100マイルまでの旅と、100マイルの旅。《ふくちゃん》

UTMFを目指したきっかけや準備、初めての100マイルレースに出場した内容をお伝えできればと思います。

UTMFを目指したきっかけ

自分がトレイルランニングを始めたのはトリッパーズの開店とほぼ同じ2017年から。そのトレランチームへ参加することとなり、現在はサポーターとして皆と一緒に走っています。

その当初から『ウルトラトレイル・マウントフジ』という日本で有名な100マイルレースの事を聞いていて、完走した人からの話を聞くたびに、自分もいつか出たいと思い、チームトリッパーズや友人たちとの日々の練習とポイントレースへの参加してきました。最初はその100マイルの大変ささえも理解できてなかったです。経験を積んでいくにつれて、ようやく大変さが分かってきました。

2020年からエントリーできるようになり、2回の延期を乗り越え、5年かけて、2022年ようやくレースへの参加が決定!

レースへの取り組み方と準備

レースへの参加が決まってからチームでの練習への取り組み方が少し変化してきます。長距離や長時間練習など、追い込めるポイントは追い込んで、強度を高めました。主に長めの距離の登り下りへの耐性と、スタミナ使いをトレイルで。個人練では主にロードでのLSDとトラック錬。月間走行距離は200kmほど。レース2週間前には富士山駅〜二重曲峠〜杓子山〜明日見湖〜富士山駅とチームで試走もできたので、後半の安心材料に。チームトリッパーズのMKT練はいつも楽しく、時に追い込めますよ。興味のある方はぜひ。

レースに参加するコンセプトとしてどうするか、悩みました。完走目的で楽しく走る。か、今までの練習の成果として持てる力を注ぎ込んで走るか、考えた結果、後者としました。理由としては、チームトリッパーズや友人との練習でしてきたことすべてを出して、どのような結果になるのかを知りたかったからです。

準備① 装備

装備は延期が度々あったので、着々と揃っていきました。ポイントはやはり軽量化。パーゴワークスのRUSH UT1 は決まっているので、この容量で軽くできるものはしていきます。嵩張るものとしてはレイン。GORE-TEX シェイクドライジャケット(116g)、パンツはteton bros. Feather Rain Pant(125g)などに。気温は2019年の様に雪ではない予報だったので、インサレーションはポーラテック パワーグリッドパーカーなどに。暑さ対策で水切れしないように、ソフトフラスクは3本持つようにしました。また、ジェルなど重いものを振り分ける為に、RUSH Hipのウエストベルトを使用。ジェルなどはこちらに集約します。ビブベルトはもちろんくまちゃんのレースベルト。とても使いやすい!細かい装備は文末に記載します。

準備② コース・行程表

こちらは2021のものを参考に読み込みました。ちゃんとしたファイルとしてギリギリまで出てこなかったので、タイムシートづくりも少し苦戦。36時間と40時間を作成していたのですが、前々日のコースとスタート時間変更には対応できなく、参考程度にこのまま使うことに。天子ヶ岳含むコースが変更になるのは楽にはなりますが、スピードレースになる予感。各エイドまでのペースを走りながら調整する作戦に。

準備③ 体調管理

レースの10日からレスト状態。仕事が忙しく走れない日々でした。それがちょうどよかった。不安にはなりましたが、脚の調子は維持できたと思います。

あと、今回初めてカフェイン抜きをしました。2週間前から行い、隠れ疲労を出し切りました。また、仕事が忙しく睡眠がとれていない状態でしたので、とても大変でした。コーヒーは大好きなので、デカフェで乗り切りました。スタバのデカフェは最高にうまい!2週間カフェイン取らない状態をつくれたので、隠れ疲労は抜けていったと思います。これで眠気のコントロールがしやすくなります。お酒は1日前のみ断ちました・・。これがこのあと響くかもしれません。

準備④ サポーター

装備チェンジや休息などをサポートしてもらいたくお願いしました。コースやエイドワークの相談もできたので、レース本番はとても心強かったです。感謝しています!

レースレポート

スタート

仲間たちと合流し、ドキドキしながら周りの雰囲気を楽しみ、wave1から強者達の勇姿を見送り、自分はwave4の後ろから16:20スタート。

U1まではほぼフラットなので自分のペースで進んでいきます。21.5kmをキロ6.5分で。友人達に声をかけたり、かけられたり、まだまだ楽しい段階ですが、ペースを守って淡々と行きます。会う人全員にペース早すぎると言われながら・・。富士山を見ながら走るのはやはりテンションが上がってくる!

義務として補給できるように、ジェルは1時間に1つ消費していきます。たまにフードを混ぜて胃に何かある状態に。ごはんが好きなのでおにぎりを持つことにしています。あとはエネモチやスポーツようかんなど。

U1 富士宮 18:42 (21.5km)

まだまだ元気なので水だけ補充して3分でOUT。U2へ向かいます。ここから先は変更になったコース。

14.1kmをキロ12分で進みます。小さなアップダウンを楽しむ余裕がまだあります。右膝に違和感を感じながらも、ペース、脚ともに好調。

U2 麓 21:30(43.2km)

サポーターもいるので30分のエイドワークに。温かいものを食べて胃を休めたり、着替えをします。着替えがとてもリフレッシュでき、気持ちもいいので都度変えようと思いました。脚は少し疲労があったのですが、イスに座って休んだことで、疲労も取れました。サポーターがテキパキとジェルや持ち物の換装をしてくれている間に、カップラーメーンやおにぎりを食べます。あとコーヒーも美味しかった!カフェインは解禁なのでデカフェでないコーヒーは久しぶりで感動。しっかり休息、装備をして次へ向かいます。まだまだ絶好調!

10.5kmをキロ11分のペースで進みます。ふもとっぱらキャンプ場をかすめて、峠道に。緩やかな上り基調で一山超えるイメージ。

U3 身延町本栖湖 23:57(53.7km)

水を補給、見延饅頭2つ食べて、ここも3分ほどでOUT。

11.9kmをキロ12分のすこしゆっくりペースで。このあたりから眠気対策の為に、カフェイン錠剤を6時間毎に1錠飲むようにしていきます。暗いので何も見えませんが、アップダウンしながら本栖湖を回り、月明かりの富士山を眺めながら進みます。

U4富士河口湖精進湖 02:25(65.6Km)

サポーターに迎えられてまずは着席。体が休まります。エイドワークは1時間の予定。校庭の夜桜を見ながら、着替え、装備詰め替えとあたたかいご飯。エアマットなどを持ち込んでいたので、30分ほど横に。微睡んで体力は少し戻った感じ。お疲れ顔だけど、脚の疲労は少なく、まだまだ元気です。

22.7kmをキロ9分のペースで。だいぶ走れるコース。ロードをまずは富岳風穴まで歩道をひたすら走ります。少し登って五湖台での富士山を堪能しながら、またロードとトレイルを繰り返して走っていきます。眠気は全然平気です。カフェインコントロールが効いています。夜が明けて、日差しも強くなり、朝の時点で暑さがキツい。このあたりから膝が痛くなり、下りのスピードが落ちてきます。エイドが待ち遠しかったので、世界遺産センターからは遠く感じました・・。

U5富士急ハイランド 07:09(88.3km)

朝から暑さにやられています。サポーターが氷のうを用意してくれてました!神かと思った!一気に冷やされて疲れも抜けていく感じです。膝の痛みがあるのでテーピングで簡易的に補助。ご飯もたくさん食べて次のエイドまで!エイドワークは少し長引いて50分ほどに。進んですぐに友人にも会えて元気が出てきます。体力と脚はまだまだいける感じ。

19.4kmをキロ8分のペースで。ロードが多いので登り以外は全部走れる!ほぼロード区間を経て一山越えていきます。富士山の見える中腹でスタッフの方が写真を取ってくれました!少し急な登り下りを堪能したら、桜を堪能できるのどかなロードをひたすら。暑くて水かぶりたくなりました。

U6 忍野 10:32(107.7km)

ここでは水と少し食料を補給。冷たい水があるので、ちょっとがぶ飲み。座って30分ほどのエイドワーク。脚も体も休めて次に。少し暑さに体力を奪われます。

8.9kmをキロ11分のペースで山越えルート。エイドでてからすぐ一瞬ロスト風・・。探してたらテープが遥か彼方に見えたのでそちらに。富士山を堪能しながら進んでいきます。施設までの道でチームのメンバーが応援に!とても嬉しかった!元気をチャージ!

U7 山中湖きらら 12:21(116.6km)

サポーターにご飯をもらいながら着替えと休息。カレーメシを食べると少し気持ち悪く・・。少し胃腸がやられてきてるが、おやつのシュークリームがとても美味しかった!あとアイスもくれたのでクーリングがしっかりできました。1時間のエイドワークにしたので30分横に。チームメンバーから「wave4の中だと今7位だよ」と聞き、俄然やる気に!10位以内には入りたい!wave4の上位には山健さんも鏑木さんもいますが・・。もうこの位置だと、wave4のゼッケンを見ることがなかったので、どこまで追い上げることができるのか。気合も十分にエイドを後にします。

13.6kmをキロ15分のペースで。100マイルは120kmからが折り返し!ここはアップダウンが激しいコース。最初の急登を登っているとKAIの選手が抜かしていきます。ここから入り乱れて走る時間帯に。下りも急なので、膝のダメージが強くなってきます。細かいアップダウンを繰り返してようやくひらけた場所が見えてきました。

U8 二十曲峠 16:48(130.2km)

16:48 U8 二十曲峠に到着。130.2km ここはチームトリッパーズメンバーがMMAのメンバーと共同でボランティアをやっているエイド。メンバーの顔をみてほっとしました。水と食べ物を補給して、椅子で休憩。夕方なので日が落ちる前にスタートしたいので、15分ほどでOUT。みんなとあまり話せなかったけど嬉しかったなー。

12.2kmをキロ14分のペースで。暑さもあるのか、途中で気持ち悪くなりうずくまることが多くなってきました。登りで進んで座ってを繰り返し、気持ちも切れてきます。補給食を水で流し込み、体力だけは維持。日が落ちてようやく頂上の鐘が見えました。鳴らしたい気持ちを抑えて下りへ。このあたりから胃腸の様子が本格的におかしくなってきます。脚はまだ売り切れていない様子。

U9 富士吉田 20:05(142.4km)

真っ暗なコースからようやく明かりが見えて一安心。水を2本満タンにしてから熱い方の吉田うどんを。温かいうどんは美味しく、食べれなくなっていたのにするっと食べれました。20分ほどのエイドワークでしっかり休んで最後のエイドを後にします。

15.5kmをキロ12分ペースで。出口近くでサポーターが応援に!元気をもらい、霜山までロードを進んでいきます。ずっと続く登りと気持ち悪さで、先程と同じく座り込む回数が増える。なんとかスポーツようかんを1つ食べて流し込む。スタッフの応援がとても心強く、真っ暗なのにそこだけ明るく見えました!途中のアップダウンで少し記憶飛んだりしましたが、ようやくロードへ。時計をみると23時台。なんとかその日のうちにゴールできると思い、富士急ハイランドまで力の限り走ります!

Finish 23:43(157.9km)

31時間28分18秒 チームメンバーやサポーター、友人に迎えてもらってなんとかゴール!なんともいえない達成感とすさまじい疲労が襲ってきました。念願のフィニッシャーズベストと手にすると、終わってしまった事が少し寂しく思えて、ゴール前で少し呆けてしまいました。いい旅だった。

まとめ

初めての100マイルは色々な人に支えられてなんとかゴールすることができました。本当に嬉しかった。wave4中7位も維持でき、タイムも結果としては満足いく内容となりました!走ってみて、応援されるということが、どれだけレースにとって重要かを改めて理解しました。また、自分の体を理解して、まずは自分で自分をサポートすることも重要。準備から練習、環境づくりなど、いろんな事を教わったレースでした。

エントリーしたい思ってから5年、準備する期間もいい旅だったなと感じています。今度は応援する側にまわって恩返しに。あとはまたエントリーして違う観点からレースを楽しみたいです。スタッフ、ボランティアの皆さま、大変ありがとうございました!

ちなみに、レース後の体脂肪はマイナス10%、体重はマイナス2キロでした。

ふくちゃん 福岡 一晃

装備詳細

主なザック・着用装備
backpack:PAAGOWORKS/RUSH UT1
Shoes:HOKA/SPEEDGOAT4
CAP:Ciele
T-shirts:Team Trippers T
pants:TETON BROS./Scrambling Short
wind:TETON BROS./Wind River Hoody
rain top:GORE WEAR/shakedryhood jacket
rain bottom:TETON BROS./Feather Rain Pant
インサレーション:ANSER4/powergrid foodie
glove:salomon/ ハーフフィンガーグローブ
タイツ:モンベル/レッグウォーマー
耳までcap:HOUDINI/Outright Hat
socks:feetures/LIGHT CUSHION MINI CREW

レース結果

GPSウオッチ/SUUNTO 9
距離/約157.9km
時間/31時間28分19秒
累積標高/+6,388m/-6,428m
平均ペース/11分54秒(全行動時間 休憩含)
カロリー/20,809kcal
最大心拍数/216bpm
歩数/197,781歩