OSJ KOUMI 100 2021 《小林遼志》

photo by 長田豪史

去年に続き10/8~10/10に長野県南佐久郡小海町で開催された「OSJ KOUMI100」に参加しました。
この大会はOSJの年間シリーズ戦のひとつでもあり、また国内で5つある100マイルレースのうちの1つです。2019年は台風で中止でしたが、2018年、2020年に続いて3回目の出場です。

・コース概要
距離:約175km(35km×5周)
累積標高:約7,800m(garmin計測結果)
制限時間:36時間(4周終了28時間の関門あり)
スタート時間:10/9(土)5:00

・目標&プラン
去年のKOUMIは100マイルで初めて失敗したレースでした。
2周目で胃腸をやられて補給が満足にできなくなり、4周目と5周目をほぼ全て歩いてしまいました。降り続く雨で足元が悪いのに1周目をオーバーペースで入ってしまったことが発端だと思ったので、今年は同じ失敗をしないよう試走を5回もしてよく考えながらペース表を作成しました。
またエントリーリストを見る限り今回も去年以上に参加者のレベルが高く、順位を狙うというよりはベストの走りをして自ずと結果に繋がればいいなと考えました。焦らずにペース表をトレースすること、それからエイド滞在時間はできるだけ短くすることを意識しました。
特にスタート時は2周分の補給を持ち、1周目から2周目はドロップバッグに立ち寄らないことを直前に決めました。

・スタートまで
今年は新型コロナウィルス対応がすこしだけ緩和され、去年からまた少しルールが変わりました。
・エイド 去年:ペットボトルの水のみ ⇒ 今年:水、コーラ、お菓子、ジェル等
・荷物預かり無し
・各自車orテントで荷物管理
という感じです。また天気はこれまで参加した3回のうち最も良く、スピードレースになりそうな予感がしました。

OSJ年間ポイントランキング1位の西川さんと

・レースレポ
ついに1年間楽しみにしていたKOUMIが始まった。まずは様子見の1周目。
今回は初めて試走をしてペースを決めていたので気持ちに余裕がある。ロードでも林道でも知り合いにどんどん抜かされていくが、全く焦らない。
たださすがにレースなので楽しくてテンションは上がっていた。知り合いと話しながら進んでいるとあっという間にA1に着き、時計を見ると予定より9分も早くなってしまっていた。

A1通過 時刻6:09(計画6:18) / タイム1:09(計画1:18)

ロードもできるだけ落ち着いて足を使わないようゆっくり進む。

A2通過 時刻6:37(計画6:47) / タイム1:37(計画1:47)

A2には10分早く到着した。これ以上早くなってはいけないので、稲子湯のトイレに寄って気持ちを落ち着かせようとする。
トレイルは後続の選手にどんどん譲るが、道が狭いので邪魔になってしまいなかなか自分の思うようなペースで進めない。

折り返し地点 時刻7:43(計画8:03) / タイム2:43(計画3:03)

トレイルの登りを予定より10分も速いペースで上がってしまった。まずい…下りもとにかく譲りながらゆっくり下る(つもり)

A3通過 時刻8:34(計画9:06) / タイム3:34(計画4:06)

下りも10分以上速くなってしまった…また稲子湯のトイレに寄って気持ちを落ち着かせる。いや、全然落ち着けてないよこれ…楽しい。いえーい!もうどうにでもなれ!となりそうなところをなんとか堪える。これが長距離レースの難しいところ。楽しくて飛ばすと必ず潰れて後悔する。
落ち着けー落ち着けーと言い聞かせながらゆっくり進んでいると後ろから救世主が。新潟のツボさんという知り合いのランナーだ。
予定より速くなっちゃってまずい、というような話をするとツボさんも同じとのこと。二人でしゃべりながらロードの登りを全部歩く。ここでツボさんに会ってなかったら落ち着けていなかったかもしれない。感謝。

A4通過 時刻9:14(計画9:38) / タイム4:14(計画4:38)

やっと少し落ち着いてきた。最後の下りの林道もツボさんとしゃべりながら楽しくゆっくり下る。
ロードのスライド区間では2周目をスタートした選手達とすれ違う。ライバル達にはあまり会えない。かなり差がついていることが分かる。でも大丈夫。絶対そのうち追いつける。

【1周end 時刻9:52'28(計画10:15)/ タイム4:52'28(計画5:15)/ 順位132位(区間132位)】

【2周out 時刻9:52'41(計画10:20)/ タイム0:00'13(計画0:05)/ 順位96位】

ドロップバッグスルーで36人抜かすことができた。ツボさんはドロップバッグに立ち寄ったのでここでお別れ。
今度はロードで1周目を終える選手達とすれ違う。ここは何人か知り合いに会えた。こういうのがKOUMIの楽しいところ。
林道は1周目とは違って選手がまばらだ。マイペースを意識して淡々と進む。

A1通過 時刻11:04(計画11:38) / タイム1:12(計画1:23)

ドロップバッグをスルーしたために5分早くなり、それとは別に6分ペースが早くなってしまった。1周目よりゆっくり行ったのに難しい…ただ2周目は1周目よりはうまくやれそうな気がしていた。いつか必ずやってくる疲労感をできるだけ後にずらすことが大事だ。

A2通過 時刻11:34(計画12:07) / タイム1:41(計画1:52)

ここでもちゃんと稲子湯のトイレに寄る。今日はやけにトイレが近い。いつもオシッコを我慢して稲子湯に辿り着く気がする…
トレイルも1周目とは違い選手がまばらなのでゆっくり行ける。それにしてもテクニカルだし長くてきついトレイルだ。「KOUMIは走れる」っていう人もいるけど、そりゃロードと林道が多いけどトレイルはむしろ走れない方の部類だと思う(自分が下手なだけかな)

折り返し地点 時刻12:47(計画13:23) / タイム2:54(計画3:08)

うーんまだちょっと速い。下りはとにかく落ち着いて。ペースもだけどとにかく怪我をしないように。場合によっては一発でゲームオーバーになってしまうからね。

A3通過 時刻13:43(計画14:26) / タイム3:50(計画4:11)

また稲子湯のトイレに駆け込む。多分このまま5周×2回=10回立ち寄るんだろうな。
ロードはペースを維持しやすいけどトレイルがやっぱり難しい。まあそろそろ疲れてきて勝手にペースが落ち着くだろう。

A4通過 時刻14:16(計画14:58) / タイム4:23(計画4:43)

1周目は30分以上早くなりそうだったが、2周目はなんとか15分ぐらいで収まりそうだ。林道も予定よりゆっくり目を意識して下る。

【2周end 時刻14:52'56(計画15:35) / タイム5:00'28(計画5:20) 順位83位(区間54位)】

【3周out 時刻15:01'28(計画15:45) / タイム0:08'32(計画0:10) 順位75位】

ここで初めてのドロップバッグ。テントの位置が遠くなってしまったのと要領が悪くて急いでもこのタイム。ただ10分見込んでいたのでなんとか間に合った。去年は2周で気持ち悪くなって3周目で撃沈した。今年は去年よりは大丈夫そう。だいぶ疲労を感じるようになってきたけどまだまだ走れる。

A1通過 時刻16:14(計画17:03) / タイム1:21(計画1:28)

余裕はなくなってきたがまた計画より早くなってしまった。この周は計画通りぐらいで上がって、どこまで前を拾えるか。

A2通過 時刻16:42(計画17:32) / タイム1:50(計画1:57)

いよいよ計画ペースに自然に乗るようになった。余裕はだいぶなくなってきたが、ちゃんとトイレも寄る。
トレイルは足がかなり重い。3周目から急にきつくなった…でもまだいけるはず。そして恐怖の夜間に突入。

折り返し地点 時刻17:57(計画18:48) / タイム3:05(計画3:13)

なんとか計画と50分差をキープ。この辺りであわよくば27時間切れるかも?というスケベ心が顔を出し始める。でも夜の山下りは慎重に。

A3通過 時刻19:08(計画19:51) / タイム4:16(計画4:16)

かなりしんどくなってきて、ここでついに計画にぴったり乗ってしまう。なんとか遅れないように堪えたい…ロードも疲労でボーッとしながら進む。やっぱり夜はしんどい。耐えていれば前を拾っていけると信じて頑張る。

A4通過 時刻19:40(計画20:23) / タイム4:48(計画4:48)

ここも計画通りのペース。ただ4周目と5周目は落ちる想定で計画を組んでいるので少し気が楽だ。この周はなんとかオンタイムで上がりたい。

【3周end 時刻20:20'02(計画21:00) / タイム5:27'06(計画5:25) 順位51位(区間27位)】

【4周out 時刻20:28'26(計画21:15) / タイム0:08'24(計画0:15) 順位46位】

3周目は少しオーバーしてしまったが順位は着実に上がっている。ライバル達との距離もだいぶ縮まってきた。去年はここでもう全く走れなくなっていたが今年はまだ走れる。5周目になればラストで力が湧いて走り切れると信じて4周目で勝負をかけることにする。ここで初めてカフェインを投入。

A1通過 時刻21:46(計画22:40) / タイム1:26(計画1:40)

この周はきつくてもとにかくできるだけプッシュして貯金を作る作戦に出る。足も終わりかけているがロードもしっかり走る。

A2通過 時刻22:18(計画23:12) / タイム1:58(計画2:12)

なかなか貯金が作れないのでさらにカフェインを投入してプッシュ。全力で山を登る。過去2回は4周目で大ブレーキとなったが今年は違う。いける。

折り返し地点 時刻23:34(計画0:36) / タイム3:14(計画3:36)

ここでついに貯金が1時間を超えた。28時間で組んでいたのでここから計画通りのペースで行けば27時間を切れる。コンディションは全く違うが去年なら5位に入るタイムだ。今年は何位になるか分からないがなんとか27時間を切りたい。

A3通過 時刻0:37(計画1:45) / タイム4:17(計画4:45)

トレイルの下りでも貯金を増やすことができた。どんどんプッシュして前を拾う。この辺りでライバルでもあり去年ペーサーをやってもらったコクちゃんについに追いつく。長い道のりだった。楽しみにしていた久しぶりの真剣勝負だ。負けられない。しばらくしゃべりながら一緒に進む。

A4通過 時刻1:12(計画2:20) / タイム4:52(計画5:20)

エイドで先に出発させてもらい、さらに前を追う。
もう一人のライバルであり友人でもあるOSJ年間ランキング2019、2020のチャンピオン西川さんが少し前にいるはず。去年は5周目の最後の林道で刺されたが、今年は違う。
必死に林道を飛ばすと前方にゼッケン1を着けた背中が見えた。ついに捉えた。
しばらく後ろについて様子を見て、余裕ができたところで声をかけて一気に抜かす。もう追いつかれてはいけない。全力で逃げる。このままあと1周逃げきれ!ライバル達との真剣勝負は最高に楽しい。

【4周end 時刻1:53'37(計画3:00) / タイム5:33'35(計画6:00) 順位26位(区間11位)】

【5周out 時刻2:03'07(計画3:15) / タイム0:09'30(計画0:15) 順位25位】

ついに最終ラップ。4周目を全力で回ったがどこまで頑張れるか。最初からかなりしんどいが泣いても笑っても最後。悔いのない走りをしたい。ここで速報で25位であることを確認。やっぱり今年は去年とは全体のタイムが全然違う。でもベストの走りをするだけだ。5周目と思しき選手に追いついたら順位を数えながら進む。

A1通過 時刻3:28(計画4:40) / タイム1:25(計画1:40)

めちゃくちゃしんどいが林道を4周目より早く上がれた。ちょっと無理しすぎか…ロードはふらふらしながら進む。登りはもうきつくて走れない。

A2通過 時刻4:04(計画5:12) / タイム2:01(計画2:12)

少し貯金が減ってきた。トレイルの登りもめちゃくちゃきつい。今からまたあそこまで登るのか…と絶望的な気持ちになる。
ヘロヘロと亀のようなスピードで登っていると後ろからものすごい勢いで追いついてくる選手が。驚いたことにライバルのコクちゃんだ。マジかよ強すぎる…このレースはもう勝てないことを察するが、なんと一緒に進んでくれるという。勝負は完敗だけどお言葉に甘えて一緒に前を追いかけてもらう。

折り返し地点 時刻5:26(計画6:36) / タイム3:23(計画3:36)

もうしんどくて仕方がないが、なんとか計画より早く登れた。27時間も切れそうだ。あとはどれだけ前を拾えるか。下りながらだんだん明るくなってくる。もう少しでこの長い旅が終わる。

A3通過 時刻6:32(計画7:45) / タイム4:29(計画4:45)

お世話になったスタッフの方々に挨拶しながらスケートセンターを目指す。

A4通過 時刻7:08(計画8:20) / タイム5:05(計画5:20)

もうペースは上がらないがそれでも必死に走る。順位は大したことないけれど、力を出し切れて計画以上のタイムで走れた満足のレースだった。ついに長かった旅が終わる。天気は最高、気分も最高!

【FINSH タイム26:45'54(計画28:00) 順位21位(区間20位)】

・まとめ
1.100マイルは段取り八分
2.序盤はとにかく落ち着いて
3.周回レースは楽しいよ

・装備
バックパック:salomon / adv skin 5 set
ウエストバック:Ultimate Direction / comfort belt
シューズ:salomon / sense pro 4
     FUSION-FLEXI +S
レインウェア:salomon / bonatti race waterproof
       OMM / Kamleika short
シェル:trippers / reach windshell hoody
シャツ:salomon / sense tee
パンツ:NIKE / Fast Half Tights
靴下:innerfact / 5本指ショート
頭:patagonia / duckbill cap
手:salomon / fast wing glove U
ライト:LEDLENSER / M5(1周目)
    LEDLENSER / H8R(3〜5周目)
時計:garmin / fenix5
ゼッケンベルト:trippers

・補給食
ジェル:アスリチューン、メダリスト、チャレンジャーパワーリキッド
ドリンク:アミノバイタル粉末
他:羊羹、ハニーローストナッツ、グミ、magma、練り梅、梅昆布茶(水筒)

プロフィール

朝長拓也
朝長拓也
トモナガと読みます。
私が初めて山を走ったのはのは2012。山を駆け下りる疾走感、自然との一体感、こんな楽しいスポーツがあるのかと衝撃を受けました。
今でもその時の感動を覚えています。

私は特別速い訳ではないし、まだ100mileを走ったこともないし(2018年ようやく100マイル走りました!)、大会にたくさん出てきた訳ではありません。
でもトレイルを走るのは大好きです。
トレイルを走っているときに自然と笑顔になったり、訳もなく涙があふれてきたり。
うまく表現できないけど自分が解放されてく様な感覚が最高に気持ちいいのです。

人それぞれ感じる事は違うと思いますが、最高の時間をみんなで共有できたらいいなと思っています。

ランナー、トレイルランナーが気軽に集まれるお店にしたいと思っています!
一緒に走りましょう!よろしくお願いします!!