【女性限定】周回コースのトレラン100kmは感動でいっぱい!〜ROUND GIRLS 100〜《フジタユウコ》
周回4周目:ペーサー登場に助けられる・でもメンタルは下降の一途

ゴールエリアに戻るたびに、IBUKIを見ていたサポートメンバーが迎えにきてくれるのが嬉しかった。
「おかえり〜!」仲間の顔や声で自然と心がほどけてほっとする。
頭がもう働かなくなっていた。何をどうしたらいいのかがわからない。みんなの顔を見て嬉しいのに言葉が出ない。ただもう笑うしかなかった。

とりあえず腹が減りすぎているのだけはわかるので、持参したどん兵衛ミニカップにシャリ玉を突っ込んで食べた。ソーセージを食べた。温かいそうめんを食べた。食べまくった。
「食べられてるね、いいね!」サポーターのみんなが褒めてくれる。食べてるだけで喜ばれるなんて赤ちゃん以来かもしれない。食べても食べても空腹が癒えることがなかった。
濡れた衣類を整えたかったが、全てのウエアが濡れてしまい、完全に腹が冷えてしまっていた。ホッカイロをアンダーウエアの中・腹と背中につけるアドバイスに従って凌ぐ。レインパンツを履く。しかし、アンダーが濡れている以上、冷えが緩和されることはない。あとは身体を動かして温まるしかなかった。
メンバーたちに見送られながら4周目のスタート。3周目があまりに孤独だったのでさっそく喋りまくる。話すことで痛みや寒さが緩和されるのだ。
しかし、しばらく進むにつれてやはり痛みが出てきて話す余裕がなくなった。内臓の冷えも無視できないレベルだ。とはいえ走れるところは走ろう。ほとんど歩くようなレベルだけれど。

ムラカミさんが登りは走れる私を強いと褒めてくれた。他にもたくさんポジティブな声がけをしてくれた。でも、私には返事をする心のゆとりがなかった。それが申し訳なかった。
メンタルはどんどん落ちていく。それでもムラカミさんはひたすら話しかけ続けてくれていた。姿勢のこと、走り方のコツのこと。コツをすぐに反映させられるような元気は全くなかったけれど、耳だけは元気だったから、どんなことでも話しかけてくれるのはありがたかった。

「貯金がさらにできたから、大丈夫ですよ!」
4周目計算値(エイド含む):4時間43分
周回5周目:私にも来たトレラン「ミラクルタイム」
もう食欲はない。気持ちも悪い。しかし、無理やりいなり寿司を捩じ込んだ。相変わらず冷えと痛みはあるが、それが理由でDNFする選択肢はない。ストレッチをする。ここでペーサーはサトヤマさんにバトンタッチだ。

スタートラインに立った時、おもてなし隊の皆さんの「帰ってきてね!」「行ってらっしゃい!」「大丈夫だから!」の声がけが心に響いた。チームみんなの「ブラボー!ブラボー!」の声援が嬉しかった。けれど、もう走れなくなってしまっていた。
私のメンタルは谷底まで落ちていたが、サトヤマさんが明るく笑い飛ばすようなムードを作ろうとしてくれるのがわかった。モノマネまで披露してくれた。感謝しかなかった。そうしたホスピタリティに支えられて時折痛みを忘れることができた。さまざまな気分転換を促してくれたのもありがたかった。

「ゴールが近づくと全く痛みを感じなくなる時間が必ず訪れますよ」
そんなことをサトヤマさんが言う。本当に?嘘でしょう?脚の痛み、腹痛、吐き気がする私には信じられないことだった。
「ユウコさんのペースに合わせますからね」と言いつつ、サトヤマさんは微妙にピッチを上げてくる。焦っているのかもしれない。何度も時計をチェックして計算しているのも後ろから見えていた。多分、これはまずいやつなんだな。

もう限界だった。時々止まる時間も増えてしまっていた。
ウォーターエイドに到着。私の調子は最悪だった。股関節の痛みは膝の痛みに切り替わっている。サトヤマさんがエイド内のストーブの前に座るように促してくれた。言われるがままに座り、冷えた腹を温める。しばらくしてそろそろ出発、という前に気分転換にトイレに入った。トイレのドアには「姫専用」という張り紙が貼ってあって少し笑った。
奇跡が起きた。トイレから出たら、何かが変わったのだ。嘘みたいに痛みがなくなっていたのだ。頭がスッキリしている。視界が明るい。夜も明けた。「サトヤマさん、大丈夫です。行きましょう!」

すっかり元気になってトレイル区間を開始する。全く問題なく走れる!
サトヤマさんも「おっ!」と言う感じでさらにペースを上げてくれた。「どんどん行きましょう!」「今もしみんながIBUKI見てたらびっくりしてるでしょうね!」
登り区間、私を振り返ったサトヤマさんの顔がこわばった。

後ろを見るとスタッフビブスを着用した男性が立っていた。
「す、スイーパーさんですか・・・!?」
「いいえ、私はマーシャルです。ですがあなた方が最後尾で、あなたより後の選手はウォーターエイドで切ることになりました。」
私たちの後ろをついてくるマーシャル。私の足取りを見ている。「ちゃんと歩けていますね」「うん、これなら大丈夫そうだな」本部に連絡を入れている。「はい、スイープできます」マーシャルからスイーパーに電撃転生した瞬間だった。
ビビリはしたけれど、私の元気はマックス。登りはノーレストでワシワシ行ける。不思議なくらい体が動く。「お〜すごい!強いですね!」スイーパーが褒めてくれる。嬉しいな〜。とにかく巻いて行こう!って気持ちで前に前に進む!これがミラクルタイムか・・?!私にも訪れたんだ!
ガンガン進めていくと、ついに先行する選手ペアの背中が見えた。でも、まあせっかくなら最終ランナーになりたいしな〜などと話していたら、一団となって進みましょうとサトヤマさんが提案してくれた。優しいぜ。
もう大丈夫だと歩き始めた途端に身体が一気に重くなった。ミラクルタイムが終わったらしい。
でも、絶対完走できるし。間違いなく!選手二組+スイーパーで歩いていたら、なんと前から植木さんとおそらくオーガナイザーの方がこちらに向かって走ってきた。私たちがあまりにも遅いので、迎えにきてくれたのだ。
豪華すぎる・・・。最終ランナー、おいしいなあ・・・!

植木さんの励ましによって歩きからジョグに切り替える。
頑張れ、頑張れ、あと少し!
ああ、ゴール会場が見えた!
会場中が拍手とハイタッチを求めてくれる。その雰囲気に呑まれるようにして強い気持ちが込み上げてきた。
ゴールラインを越える。割烹着姿のおもてなし隊のスタッフさんに思わず抱きついてしまった。


こうして制限時間いっぱい楽しんだ私のレースが幕を閉じたのだった。
まとめ
この大会は2回目の開催でした。2025年の初回大会は大雨のため、フィニシャーを出すことなく途中で中止となった経緯がありました。だからこそ盛り上げようという意気込みがランナーも含め全員から感じられるような大会でした。いや〜、参加できて良かった。本当に素晴らしい大会でした。周回コースが苦手な方もぜひ挑戦してほしいと思います!40kmまでならスピードレースが楽しめるのではないでしょうか。
<終わり>
プロフィール

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Trippersのトレイルランニングチーム。
走力を上げる事を目指すのではなく、月に一回みんなで山を楽しむというスタンスで活動しています。







