はじめての100マイルレース【からすてんぐ100】   《アオキマコト》

みなさん、100マイルのレースに参加したことはありますか?

トリッパーズのブログをご覧になっているので、トレイルランニングに興味がある方や、大会に参加したことがある方が大半だと思います。なかには100マイル以上の距離を走られている方もいると思います。

100マイル

約160km

普通は車とかで移動する距離ですよね。走ったり歩いたりする距離じゃない。でもね、「普通」て何なんでしょうね。普通という概念を規定しているのは自分自身だと思っています。Team Trippers(以下チートリ)でお世話になるようになり、ありがたいことに色々な方々と交流させてもらっています。今までのわたしの普通という概念を良い意味でぶち壊してくれる方々ばかりです。わたしもショートやミドルと呼ばれる大会に参加したことはありましたが、100マイルの大会はありませんでした。

なにか特別な感じがして、わたしには遠い感じ。「普通」じゃないと思ってた。

はじめまして。チートリに9期より参加している青木といいます。今まで参加してきた大会はFTRみなの50k、彩の国100k、信越五岳110k(DNF)などです。普段は近所の公園や高尾周辺を走ったり、歩いたりしている普通のおじさんです。特に運動してきたわけでもなく、中学時代にバスケをしていたくらい。そんなおじさんが、この度自身初の100マイルレースに挑戦してきました!今回はその様子を少しでもお伝えできればと思います。

さて、今回わたしが参加させてもらった大会はこちら

この大会は1月1日にからすてんぐより手紙が届くところからはじまります。

 

大会要項
大会名称 からすてんぐ100
開催日程 5/30am10:09-6/1am10:09
開催場所 島根県出雲かんべの里・てんぐの森
大会行路 1周1.5kmを109周
募集人数 19人(人数が多い場合は抽選)/ウェイティング制あり
参加費用 19,000円
完走賞品 木製フィニッシャーバックル
募集期間 1/9am10:09〜1/10pm17:09/19時間ONLY
大会主催 HITOYAMA/ディレクター西山肇年さん
制限時間 48時間
関門 なし
累積標高 10,000m
サーフェス トレイル100%

ルール
①制限時間48時間以内に1周1.5kmのコースを109周する
②タイム計測は各自で実施
③エイド・ドロップバック、ペーサーあり
④からすてんぐマナーを守ること
 1.自然と人に思いやりの気持ちを持つこと
 2.自分の力と状況を見極め常に最善の判断を怠らない

参加条件
①からすてんぐに負けない身体と心を持つもの(100マイルを完走するための日々の鍛錬、決意がある人の意)
②からすてんぐマナーを守れる者

ざっと大会要項等を書きましたが、こんな感じの、ぐるぐるする大会です。ただ、ぐるぐるする回数が普通じゃないくらいで。初めての100マイルには良い事だらけの大会だと思います。
・1周の距離が短くすぐにエイドに帰れる
・ロストの心配がほぼない
・ザックを背負わなくても大丈夫 
・トイレもすぐ行けるし待ちもない
・ポールも初めから最後まで使用できる
・いつでもどこでも応援してもらえる
特色は他にも色々とあると思いますが、こんな感じでしょうか。

さて、1月9日の10:09を待って無事にエントリーを済ませ、あとは抽選を待つのみ。
抽選の様子はInstagramで配信されていました。

キタ---(゜∇゜)---!!
無事に0次関門を突破し(今年はエントリー84名だったので倍率は約4.4倍でした)次は家族への報告です。実はこれが1番難しかったりします。しかも今回は島根県、前泊後泊含めると4泊5日。ぐっとハードルは上がります。
まずは日程を再確認、ふむふむ5月30日からねOK。よし、次は家族カレンダーを確認してと
!?!?!?

ウンドウカイ??

なにそれ?おいしいの?

………

そうなんです、ただでさえ言い出しにくい遠征なのに子供の運動会とバッティングしていました。OMG!
昭和世代のわたしは運動会=秋開催が鉄板です。いつからよ?5月なんかにしたのは。なんて悪態をついてもはじまりません。
さぁどうする、これは言い出しにくいよ。子どもの運動会もそりゃ見に行きたい。でも走ってみたい、走りたい。自分の気持ちに嘘はつけませんでした。
散々悩んだ挙句、相談だけでもしてみようと思いました。
「今度の運動会の日あるじゃん?その日、父も運動会なんだよね。」なんて感じで、この大会に対する思いを伝えて。子どもが中学生で親離れしている事もあり何とか家族の了承を得られました。
とはいえありがとう、いつも好き勝手させてくれて本当にありがとう。家族に対し感謝の気持ちでいっぱいです。
実際、子供に見にきて欲しいと言われれば諦めるつもりでした。家族あっての趣味だしね。えぇ、わかってます。父としては最低の部類でしょう。でも、この選択を後悔していませんし、これから先も後悔することはないでしょう。

最大の関門をクリアして出走が決まってからは大会に向けて対策を練り始めました。
なんせ初めての100マイルなので何があるか分かりません。とりあえず制限時間が48時間あるので、時間いっぱい使う予定を組んでみます。
160kmを40時間で行くとする
残りの8時間は休憩や不測事態対処
とすると
10時間で40km、1時間で4km、15分/kmでいける。
初のマイルレースで経験値もなく、なおかつ走力もあまりないおじさんは8〜9割は歩いているだろう。ならば、走る練習をするよりも早く歩く練習をした方が完走に近づけるんじゃないだろうか。チートリの先輩マイラー達もそんな事を言ってたし。ということで、参加が決まってからは積極的に歩くようにしました。通勤もいつもより遠まわりして歩いて帰ったり、ちょっとした買い物など意識的に歩く頻度を増やしました。もちろんランニングもしたけど。
歩きとランを合わせると3月4月は走行距離400km、獲得標高は5,000mくらいだと思います。5月の大会前までは頑張って獲得標高は10,000m。
また、普段の練習の他にゴールデンウィークにチートリメンバーで長沢背稜に行き、「長く動く練習」をしたり(この時は24時間で70kmD +5,000m)、府中にある浅間山公園(1周1.8kmD +70m)を仮想かんべの里に見立てぐるぐるして「周回走に慣れる練習」をしました。あとは、ストックが全区間使用できるのでストックの練習も増やして。ストックは3・4本目の足になってくれた実感があるし、自然と上半身の筋肉も使うようになり全身のバランスが良くなったように思います。あと、今回1週間前からアルコールとカフェインを控えてみました。はじめての試みでしたが完走できたので効果はあったものと思っています。
大会まではこんな感じで練習し、走行距離は自身最高でしたが垂直方向が全然だったので不安がありました。でも、出来ることは全部やったしあとは楽しもう!と切り替えて、いざ、島根へ!!

空港では鬼太郎ファミリーが迎えてくれました

レトロな電車に揺られ、まずは出雲大社へ完走祈願に。縁結びの神様らしいけど、そんな小さいことは気にしません。ここまできたら縋れるものには縋らせてもらおう。
ゆっくり観光したかったけど、明日からのことで頭がいっぱい。早めに切り上げお世話になる宿へ。
今回の宿は夕朝食付きで¥4,122円と破格な宿でした。

夕食と朝食。腹一杯たべてレースに備えます。

そして、いよいよ大会当日。
会場へは市営バスで向かいます。30分ほどで会場の「かんべの里」へ到着。
受付をしようとすると、ここでエントリー費の支払いが。現地払いのこと完全に忘れてました。持ち合わせなくオロオロしていると、スタッフの方が車で近くのセブンまで連れて行ってくださいました。超ありがとうございます!良い人だ〜。少し車内でお話しさせてもらいましたが、この方も毎年エントリーはしているものの、ロッテリーがなかなか通らないとのこと。あらためてこの大会で走れる幸運に感謝して絶対完走しようと気持ちを新たにするのでした。
そして無事にエントリー費を支払い持参した補給食やデポバックを準備していきます。

今回持参した補給食。ジェル系が苦手なので基本は固形食ですが色々と持っていきました。

補給食は選手一人一人置く場所が決められています。他の選手がどんな物を準備しているのか見たりするのもまた楽しかったり。

野鳥の会仕様のカウンターは1周ごとに選手自らカウントし109周を目指します。

仮眠所とデパバックエリアのテント。自分で用意すれば個人テントの設営もOK

使用したアイテムとデポバックに入れていた物はこんな感じ。MVPは青竹踏み。

ある程度準備が終わり、まったりタイム。はじめましての挨拶などをしていたらブリーフィングの時間となりました。ここでは注意事項やルールの説明がありました。


そして10:09みんなで写真を撮ってスタートです。天気は晴れ。スタート時はそこまで暑くもなく絶好のコンディション。

1周目〜10周目 15km(区間タイム3時間4分)
最初の1週目は写真を撮りながら、コースの確認をしながら17分。いいペース。時間が経つにつれ多少の暑さは感じたけど、そこまでない感じ。10周目を13時過ぎに通過できました。

急登や激下りもなく、日陰も多いため気持ちよく走れます。選手同士のすれ違い区間もありお互い声を掛け合うことも。

10周目〜20周目 30km(区間タイム2時間52分)
ここまで特に大きなトラブルなく走れました。ただ少し暑さを感じるようになってきたので日向は歩いて日陰は走り心拍はZONE2を超えないようにしていました。

1回目の食事、キンパと白いスンドゥブ。うまし。量も多くて食べ応えがありました。

20周目〜30周目 45km(区間タイム2時間57分)
この辺りからコースに合わせて走れるようになってきました。下りは足をどこに置けば下りやすい、登りもこっち側の方が登りやすいとか。日も落ちてきて気温も下がりいい感じ。

夜の部スタート

30周目〜40周目 60km(区間タイム3時間25分)
だんだん疲れを感じるように。暗いし同じところをぐるぐる回ってるので頭は働いてません。カウンターの押し忘れに注意して前に進むのみ。

2回目の食事、コングクス(冷豆麺)。初めて食べたけど胃腸に優しそうな豆乳?ぽい味でした。ここで足のケア。青竹踏みでマッサージ及びJO1クリームを塗り直し。

40周目〜50周目 75km(区間タイム4時間27分)
この区間が1番キツかった。理由は胃腸トラブル。気持ち悪い、食べられない、進まない。走るどころか歩くのもキツい。今まで胃腸系は強い方だと思ってたし、実際気持ち悪くなることもあまり無かったので、対処方法も分からない。とりあえず横になろうと思って30分仮眠所へ。あまり回復する感じがなかったのでゆっくりでもいいから前に進もうと思って歩きはじめました。でも補給もできていなかったので力が入らない。ここでエイドのスタッフさんに相談します。すると、スタッフさんからお吸い物とかどう?とアドバイス。これが正解でした。うん、これなら大丈夫そう。ゆっくりと飲み干してまた前へ進みます。そこからテングジンジャーと白湯を飲んで胃腸も大分落ち着いてきました。たとえ調子が悪くなっても耐えて我慢していれば復活する事もあるんだ。

50周目〜60周目 90km(区間タイム2時間39分)
なんでか分からないけど1番早かった区間。夜はあんなに辛かったのに。人間の身体は不思議だ。夜間ずっと歩いて体力が回復してたのか、夜が明けて太陽の光を浴びたからなのか。覚醒モード突入!

60周目〜70周目 105km(区間タイム3時間45分)
あれ?前の10周より1時間以上遅い。ペースは変えずに走っていたつもりなんだけどな。覚醒モード終了。
カウンターの数も全然進まない。ん?まだ63周目だっけ?68じゃなかった?なんて幻覚に包まれはじめます。

3回目の食事、朝定食。お品書きまであって最早エイド食ではありません。ホテルの朝食みたい。卵に関しては選手1人1人の好みでスクランブルエッグにするか、目玉焼きにするか選んでその場で調理してもらえます。もう感動ですよね。この朝ごはんを食べにまた出たいです。2回目の足のケア。マッサージとJO1クリーム塗り直し。

70周目〜80周目 120km(区間タイム4時間13分)
天気が良く太陽がジリジリ照りつけます。今日も暑そうだ。1周ごとにかぶり水で身体を冷やしながら進む。1.5kmごとにかぶり水があるのも、この大会の良いところ。汗をかいてもすぐに流せるし気持ちいい!
水浴びに夢中になっていると、最初の完走者ヤマネさんがゴール!わたしが見ていた限りでは基本ずっと走っていたと思う、すごい!

ワンコが散歩していました。みんな笑顔になり疲れも忘れます。ワンコの癒す力はすごい。

4回目の食事、8farm流沖縄そばと朝採れイチゴ。暑くて汗をかいた身体に沖縄そばの塩味が沁み渡る。

80周目〜90周目 135km(区間タイム3時間26分)
初めて体験する距離になってきました。日中の暑さで身体もダルいし、1周帰ってくるたびに休みたい。でも、わたしは1回腰をおろして休んでしまうとそこから動き出すのが遅いのです。なので我慢して進みます。まず1歩踏み出そう、それの繰り返しだ。

たまには座ります

90周目〜100周目 150km(区間タイム3時間14分)
2晩目をむかえ疲れもあるけど、眠気もなく身体はまだ動いてくれていました。日が落ちて涼しくなってくるとやはり違います。カウンターが100になって徐々にゴールの事を考えはじめました。まだ10km以上あるのに。

5回目の食事。発酵ごはん。わたしの写真では伝わりにくいかもしれませんが、もうね、全部美味しいのよ、本当に。ごちそうさまでした!

100周目〜109周目 163.5km(区間タイム2時間53分)
ついに念願のゴール!ゴールした瞬間はもちろん嬉しかったけど、安堵感の方が大きかったです。普通じゃないと思っていた100マイルは辛い苦しい楽しい嬉しい全部の感情が味わえた最高の時間でした。

タイムは36時間55分でした。上出来!

総括
犬の散歩をしていたり、子供達が遊んでいたり、地域の方々に愛されている里山をお借りしての100マイル。とても良く整備されていて走りやすく、気持ちの良いトレイルでした。序盤でコースが傷んだ時もディレクター自ら補修作業をしてすぐに直してくれたり、スタッフの方々が色々な差し入れ(アイスやスイカ、マスカットにお菓子など本当に多くの差し入れを頂きました。)を持ってきてくれたり、応援の方がコース上で扇風機片手に応援してくださったり、大会関係者全員で選手達をゴールさせようという雰囲気があり、とてもアットホームで最高の大会でした!
あと、写真めっちゃ撮ってもらえます。普通の大会の10倍以上じゃないかな。萱野さん暑い中長時間の撮影ありがとうございました!

今回の支出
航空機チケット代 ¥21,360
ホテル代2泊     ¥ 8,244
現地での交通費  ¥ 4,680
お土産代等の雑費 ¥10,000
   計     ¥44,284
使用した有休     3日

わたしはこの大会に出て本当に良かったと思っていますし、これから100マイルに挑戦したい!と考えている方には超おすすめの大会です。最近の物価高でどの大会も参加費は高騰傾向にあると思います。贅沢しなければ5万以内でレースに出れて、島根、鳥取観光もできます。仕事や家庭の都合がつけば候補にどうでしょうか?




プロフィール

Team Trippers
Team Trippers
Trippersのトレイルランニングチーム。
走力を上げる事を目指すのではなく、月に一回みんなで山を楽しむというスタンスで活動しています。